見出し画像

2020年公開 北欧映画を振りかえる ⑪ 7/18公開『誰がハマーショルドを殺したか』スウェーデン他映画

北欧は国連と深いつながりがあります。1945年、サンフランシスコ会議で国際連合設立が決まると、ノルウェーとデンマークは最初から参加。初代の国連事務総長にはノルウェーのリーが就任します。翌年にはスウェーデンも参加。スウェーデンは積極的外交政策といわれる平和志向の社会民主党政権で、それを背景に53年にはダグ・ハマーショルドが2代目の事務総長につきます。

「燃える理想主義者」とよばれたハマーショルドは、着任後、当時世界的な課題だったコンゴ問題に着手。内戦に終止符をうつべく行動をします。ベルギーの植民地政策に端を発する紛争は、当時米ソ冷戦の代理戦争の戦場と化していました。1961年9月、コンゴから独立を宣言したカタンガ国のチェンベ大統領との仲介を試みたハマーショルドは、コンゴの空港を飛び立った飛行機の謎の墜落事件で死亡します。

映画は、この未解決事件の謎を解き明かそうとする、デンマーク出身のジャーナリスト、映画監督のマッツ・ブリュガーの取材を記録したドキュメンタリーです。協力するのは、ハマーショルドの母国スウェーデン人ヨーラン・ビュークダール。彼は父の代からこの謎をつい続ける調査員で、墜落した飛行機の残骸を形見に持っています。

彼らは墜落事故の現場を掘り起こしたり、目撃者にインタビィーするのですが、いくつかの謎にぶちあたります。例えば、飛行記録が消滅していたり、事故現場でのハマーショルドの遺体写真に残された、スペードのエースのカード。背後に見え隠れする、サイマー(南アフリカ海洋研究所!)という怪しげな組織。やはりこれは、国際的な陰謀か?

監督のマッツ・ブリュガーも不思議な存在で。調査の過程を美人秘書に語り、タイプに打たせる様子とか、探検隊のヘルメットをかぶり、金属探知機で墜落現場を調べるところなど、コメディではないか、と思ってしまうくらい謎です。マジな新事実発見か、なんちゃってのフェイクかー。多少迷う、不思議な後味の映画です。

2020.7.18 日本公開
英語題 Cold Case Hammarskjold
製作年 2019年
製作国 デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・ベルギー合作
配給 アンプラグド
上映時間 123分

監督・脚本 マッツ・ブリュガー
ドキュメンタリー
http://whokilled-h.com/

Prime Videoで観られます。

いいなと思ったら応援しよう!