LSE修了後1年経過した今、振り返る
久々の投稿です。LSEの修士課程を終えて、1年が経過しようとしています。この段階でLSEの経験がどう活きているのか、整理してみたいと考えております。
修了後からこれまで
2022年9月下旬よりLSEに入学し、翌年2023年9月に修了しました。同年12月には修了式に参加するためロンドンに戻り、23/24の日本人の方々と会ったほか、知人からの紹介やLinkedInから連絡を受けて、24/25入学予定のOffer Holderの方々ともオンラインでお話することもありました。話を聞いたところ、大変有難いことに、LSEの現役生及び入学予定者の日本人の多くの方々がこのブログをご覧になったとのことでした。この1年間は旧Twitterでふと思い出したことを単発的に書いていましたが、これからLSEに出願する方も本ブログをご覧になることを考慮し、しばらくぶりにまた長めの投稿をしようと思い至りました。
さて、LSEの修士課程を終えた後、この1年間はとある国際協力機関のベトナム事務所に所属し、様々な人材開発のプロジェクトに携わっておりました。この記事を作成している時点では1年間の任期満了日が近づいております。また、この次は、某国際機関のとある西アフリカの国の事務所にて勤務することが決まっております。
その国際機関のオファーレター受け取り後、色々とするべきことも指示されており、今現在も時間を決めてボリュームのある資料を日々読んでおります。中には期限が指定されているのもありましたが、それらはなんとか終わらせました。締め切りを設けられた課題に取り組んでいるうちに、ふとLSE在籍時に必死にリーディングに取り組んでいたときと似たような状況だと気付きました。
LSEでの経験がどのようにキャリアに活かされているか
私は学びを長期的な投資だととらえておりますので、修了後僅か1年程度しか経過していない今、LSEでの学びがどのように自分のキャリアで活かされているのか評価するのは、躊躇いも覚えております。ただ、LSEへ出願する予定の方々やOffer Holderの皆様によく聞かれることなので、今の段階で一度整理してみます。LSEでの経験で得たこととして今思いつくのは、主に以下の通りです。
課題遂行力
LSEというより、英国大学院全般に言えることだと思いますが、(少なくとも非ネイティヴにとっては)膨大な量の論文・テキストを限られた期間で読み、セミナー(≒グループワーク)で何を発言すべきか整理する作業を繰り返していく中で、課題遂行力とも呼べる力が着いたと思います。学部の学びや仕事でもこういった能力は身に着くとは思いますが、1年間(厳密には、講義がある約6か月間)という短期間で入学前よりも様々なことができるようにならないといけなかったのは、個人的に英国大学院に入らないとできない経験だったと考えています。入学前は論文一つを読むのにも何日もかかっていたのに、入学後は1週間のうちに複数の論文(更にはテキストブックも)を読み、ときには書かれている内容が理解できなければ自分で更に他の論文を読んだりして調べる必要性に迫られ、前期タームはかなり苦労したのを覚えています。端的に言えば、"Intense"な状況でした。なお、後期タームは余裕が出て、LSE UN Society等にも参加するようになりました。
自分にしかない価値を提供する姿勢
英国で留学することになれば、大多数の人は日本人がマイノリティの空間で生活することになるでしょう。LSEでは、日本人の割合・数ともにほかの大学よりも特に少ないと考えられます(コースによっては一人いるかいないか)。私が在籍していたHRコースは、学部を卒業してストレートにLSEに入学してきた方々が少なくなく、グループワークでは、ともすれば、理論の話で完結してしまうこともありました(それはそれでいいかもしれませんが)。そのため、私はマイノリティである日本人としてどのような価値を提供できるか意識してグループワーク等に臨みました。具体的には、時には日本の事例を聞かれることもあったので、先回りしてグループワークのトピックに関する日本の事例を少し調べるようにしたほか、トピックに関する自身の職務経験を一つの事例として話すこともありました。「理論としてはそうかもしれないけど、そんなに単純ではないよ。私の経験では~」と話した際、教授が嬉しそうな顔をしていたのを覚えています。
また、海外で就職すると、自分がマイノリティの立場に置かれることが多々あると思います。(その国から見て)外国人を雇用するのは、現地の人よりもコストがかかるはずなので、私は現在の職場に入ってすぐ、Supervisorに予め決められている仕事内容以外に何を期待されているのか詳しく確認しましたし、定期的なフィードバックを依頼しました。次の職場である国際機関でもインターナショナルスタッフとして入るので、自分が提供できる価値は何か確認してミッションに取り組もうと考えています。
多角的視点
LSEでは逆さまの地球儀が敷地内に置かれています。逆さまの理由は、物事を色々な視点で分析することを大学が期待しているためだとか。HRコースでは、政府、雇用者、労働者(+労働組合)の視点で様々な議論をしましたし、それらの経験は私がベトナムの行政機関、実施団体、裨益者等が何を考えているのか推察したり、コミュニケーションをとることに活かされたと考えています。様々な目的を持った様々な機関と上手くパートナーシップを組んでいく際、多角的視点で物事を考える姿勢は役に立つと考えています。
(おまけ)大学のネームバリュー
LSEは概して日本社会ではあまり知名度が高くないと感じていますが、大学の教員の方々や政府機関の留学経験者等の多くは知っていると思います。ベトナムでも、国際機関職員や政府機関職員のほか、いわゆる難関校の学生の方も高い確率で知っていて、私がLSE出身だと知ると、そこから話が広がることもありました。
実際に就職で役立ったかという点に関しては、現在の職場の上の方々及び次の勤務先である某国際機関の面接官がどう考えていたかを推測するしかないのですが、プラスに働いたとは思います。前述の通り、政府機関職員や国際機関職員の多くはLSEを知っていて、かつ高く評価していると考えられるためです。ただ、私はLSE入学前から職務経験はあったので、主に職歴が評価されたのだと思いますし、選考の際に学歴の比重がどの程度大きかったかは定かではありません。また、次の職場である国際機関のインターナショナルスタッフ数名とはLinkedInでも繋がれたのですが、学歴だけ見ると、(この表現が正しいかわかりませんが)肩を並べることができたという感覚です。
一方で、大学卒業後、ストレートにLSEの修士課程に入ってその後就職される場合は、(就職先の国次第ですが)概してそのネームバリューがフルタイム経験者よりも大きく影響することになるかもしれません。この点は以前、私が卒業生に話を聞き、記事にまとめました。
まとめ
LSEで個人的に得たものとして、修了して1年間経過した今の時点で課題遂行力、価値を提供する姿勢、多角的視点を挙げました。人によって意見は異なると思いますので、LSEの卒業生・修了生と繋がったら、是非彼らが何を得たのか聞いてみてください。