見出し画像

えねーちけーアーカイブス #161 豆腐とネギ

 ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNながしろさんH恥のK掻き捨てアーカイブス。第161回は「豆腐とネギ」。

https://www.qbooks.jp/1000/stage4/042/#a3

 「小説の書きかた」のお手本みたいな作品だ。つまり「あたしはこうやっている」であり、それ以上ではない。

 豆腐が生きていて凶暴で、口の中にびっしり歯が生えていたら怖くないですか、というところを起点とする。作品としては、正常な描写だったものがだんだんズレを生じてきて、読者が「おや、おかしいぞ」と思ってくれることを主眼とする。小道具を置く。なぜか豆腐の水槽にエアポンプがある(おかしい)。店主がおもむろに鎖グローブを嵌める(おかしい)。指をかじり取られてしまうからだ。

 と、だんだんと一般常識との溝を深めていくことで作品は展開していく。さてオチはどうしよう。1000字という縛りにおいて、大事なのは振り切ってしまうことだ。つまり、なんとか無理矢理にでもオチをつけようとしてしまうとすべてが萎縮する。「ああネギだ。向こうからは夕立だ。困ったなァ」となり、この困ったなァ、という感情をオチにする。感情をオチにする、というのは万能で、小学生が遠足に動物園に行った作文などにおいても「面白かった」で締めればたいていは許される。芸の優劣の話はしていない。読者がなんとなく享受してしまうのだ。瀬可博士(#157)のオチ「とんだ話もあったものです」もそれに近い。1,000字だし。貴重なお時間を取らせないし。

 これでいいのか、と問われれば「作品を作る」ということに対してのハードルをこれでもかと下げることで作り続けられるというメリットがあるので「これでいいのだ」と結論していいのであった。
 作り続けていればたまにとてもいい手応えが発生したりする。
 それだけは、確信を持って云える。


いいなと思ったら応援しよう!

ながちろ
みなさんのおかげでまいばすのちくわや食パンに30%OFFのシールが付いているかいないかを気にせずに生きていくことができるかもしれません。よろしくお願いいたします。