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(250211)銀の雲間から差し込む光いくすじも見とれ 冬の日の冷たさを忘れてた

飲酒ばっかりしている。パレードのようだ。

2025年2月1日(土)
1年以上ぶりにクラブ遊びをした気がする。世間ではどうなのかよくわからないけれど、こと新宿二丁目に関していえばここ数年でかなりクラブ遊びというのは廃れた、というか限られた人のための遊びになったように思う。クラブっぽいお店も少なくなったし。そもそも平成のスタンダードであった、おそるおそる初めて二丁目に訪れなんとなくクラブに入ってみたりして交友関係を広げ…みたいなゲイ人生のはじまりそのものが昨今の様々な要素により死滅しつつあるのだろう。いにしえの頃からクラブ遊びが好きだった人、社交をする人、祖国にクラブ文化が今も強くある外国人の3本の柱が主になり新規参入ハードルの高い戯れになっているような気がする。それに関して僕個人は是も非もないのでなんでもいいのだけど。2軒をはしごしつつ結構楽しく遊んではいたけど、メインストリームな方と斜陽な方を行き来してるとゲイクラブ文化の死をありありと感じてエモかった。最近なんでも『エモかった』で済ませようとしている節がある。
2時くらいによくわからない、ハブ酒?マムシ酒?のようなもののショットを飲んでしまい結構しっかり酔ったが、ものすごく頭がスッキリした酔い方だった。あれがヘビ系酒(総称がわからない)の実力なのだろうか。今までになかった酔い方だった。4時前後に友達がぱらぱらと帰り始めたので帰ることにした。花園神社近くの富士そばに寄ると二丁目と歌舞伎町という新宿二大夜の街の潮目らしく最高にカオスだった。ホスト、よくわかんない経営者っぽいおじさん、外国人、キャバ嬢、ゲイ。新宿のすべてがミングルしていた。あれを回している花園神社近くの富士そばの店員さんまじリスペクト。そして富士そばが死ぬほど美味かった。僕は飲み明けのラーメンが苦手…というか飲むと気持ち悪くなるタイプなのでラーメンが重すぎて嫌だったのだが最適解がそばだったのか。サウナで水風呂の良さに気づいた瞬間のひらめきに似たものがあった。脳が求める塩分と水分をダイレクトに脳内に注ぎ込むような快感がありもはやこのために飲酒をしてもよいのではと気づく。てかこのために飲酒してる人いるんじゃない?ひらめき由来の喜びを抱えて店を出たら結構しっかり雨が降っててテンションが地に落ちた。

2025年2月2日(日)
街で久しぶりの友達との邂逅があった。こういう偶然があるから東京が好きだ。僕も彼も用事を済ませて帰るところだったので近くのガストに入り話すことにした。彼はゲイだが女性と結婚がしたいらしい。これは世で本当に長らくずぅーっと話されているイシューであるし語るべき価値のあるトピックだと思う。
ゲイコミュニティにおいて嫌われるゲイ男性の属性というのが多少ある(実際に嫌われるかは本人次第ではある)が、『女性と結婚している』というのはトップレベルで嫌われる。子どもなんかいれば尚更だ。そっち側に行ったのならそっち側に居てください、という思想を根源としていると思うのだが、ゲイコミュニティに属している時点で男遊び(浮気)をしている可能性が高いというのも要素としてあると思う(別に僕は日本のゲイを代表しているわけではないのであくまで一個人の眼に映っている現象について語っています。一定のゲイコミュニティに現在進行形で属している場合だし、過去に結婚していたことや未来にしようとしていることを責める文化もないし、そもそも主語がでかかったけど女性と結婚しているゲイ達のコミュニティもあるようなのであなたが該当者でも特に傷つかないでください)。ゲイ同士のカップルであればオープンリレションシップというのは結構許されるもの(感覚値)なのだが、男女だとそれが許容されないという現象はちょっと面白いと思う。
そういう前提があるし、ていうかそもそもお互いの気持ちの問題とかもあるし、相手のこととか、子どもが出来るなら子どものこともちゃんと大切にできるならいいんじゃない?という見解を示すと、ばんまさんは結婚したくないんですか?と聞かれる。僕は相手が男でも結婚なんてしなくない。相手が男でも結婚したくないのに女相手に結婚する意味なんて一体あるんだろうか?と答えた。自分がどんな性別のどんなセクシュアリティに生まれていても結婚はしたくない。家族という仕組み自体が苦手だ。
つまるところ彼はきちんと自分の遺伝子を持った子どもを持ちたいというのが着地点のようで、その着地点に対して自分とか、相手が居るなら相手が納得できるなら好きなようにすればいいよと言う。でも人間はその時の決意が20年も30年も持つようにたぶん出来てないから、やるなら何十年後かの自分が本当に後悔していないかベースで考えなきゃダメだよね。ただ、そんな考え方きっと誰にもできないよねとも思う。結婚とか子育てって、ある側面では自分を不可逆的な状況に追い込み、自分の人生とか気持ちとか精神性みたいなものを推し進めるイニシエーションなんじゃないかと思う。
そもそも生物学的に見て同性愛者ってなんなんだろう?みたいな話にまで及ぶ。僕は、同性愛者には末子が多くて兄姉らを助けるよう遺伝子がそうするみたいな説を聞いたことがありそれを支持している。ちなみに兄らを助けたことは一度もない。結局、僕らみんな何百万年とかの進化の過程だから色々わからないのではなかろうか。今が進化の結果だと思うからダメで、きっと全部未完成なのだ。遺伝子とかそういうのも。色んなマイナーチェンジがバグのように最初は認識されて、徐々にメジャーになって、遺伝子が、色んな可能性を試しているのだ。

2025年2月4日(水)
pha『しないことリスト』を読む。僕や一部の友達の間で軽くブームになっていることもあり、この人の文章の持つ吸引力みたいなものについて最近ずっと考えていたが、何か呪いを解く力みたいな要素があるのではとこの本を読んで感じた。多くの自己啓発書って、人にある種の呪いをかけるものなのではないかと僕は考えている節がある。でもそういう類いの呪いって一概に悪いとも言えなくて、ドラクエでも呪いがかかるかわりに少し強い武器みたいのが幾らかあってそういうイメージでいる。呪いに耐えられるほど屈強なら別に良いし、適合してれば薬にすらなるんだろうけど。その反面か最近はあらゆる呪いを解くファンクションのある自己啓発書も多くあって、この人の文章は自分に合わない呪いを解き放つための文章の筆頭なのではと思った。
特に良かったのがコンサマトリーという概念についてで、コンサマトリーは日本語だと『自己充足的』と訳すらしく、何かの行動そのものを楽しむことを表す。僕は今この文章を書くことが割とコンサマトリー的な状態で、かつてやっていたように人に何かを啓蒙したり金銭を発生させる目的で書く(そういうのは対義語でインストゥルメンタル=道具的と呼ぶらしい)ことはせず、ただ楽しく書いている。これが誰に読まれなくてもいい。シンプルに書きたくて書いている。そういう意味では僕はコンサマトリー的な行動に精神がフィットする部分が強いのだと思う。そのコンサマトリー的な部分を人生単位でもっと大切にしようよという部分があり五臓六腑が肛門から飛び出るかと思うくらい腹落ちした。
僕は幼少期に怖い話が大好きだった。幼少期に、っていうか今でも好きなんだけど、怖くて家でひとりで読めないのであまり読まなくなった。『新耳袋』という怖い本を何度も何度も読み返していた子どもだった。怖い映画は好きじゃないのに怖い話は大好きで、図書館に行って怪談の本ばかり借りていた。今考えてみれば、怖い映画っていうのはクライマックスの怖さに向かうある種インストゥルメンタル的なエンタメであるのに対し、怪談の多くは不思議(過程)そのものを楽しむコンサマトリー的な側面の強いエンタメだから好きだったんじゃないかなと思う。怪談って結構オチない話とか多いもんな。インストゥルメンタル的な行動がハマる人もいる一方でコンサマトリーを大切にした方がずっと楽な人も一定数いるし、自分もきっとそっち側だなと気付かされる。
去年から時間が出来て読める本の冊数もかなり増えたけど、やっぱりこういう自分の中でぼんやりした部分をシャープにしてくれる一文、みたいなものを探したくて読書している気がする。

2025年2月8日(土)
映画『ファーストキス 1ST KISS』を見た。去年から『スナックラジオ』を聞きすぎてなんとなくリリー・フランキーが出ていれば名作なような気がしていたが冷静に考えればその法則は間違っていると思う(最近は夏帆が出ていれば名作、みたいな所はかなりある)。『スナックラジオ』で宣伝を聞いて、なんとなく上映時間を調べたら丁度よかったのでパッと見に行く。
映画自体は面白かったのだけど、ていうかこれはもう『花束みたいな恋をした』でも『怪物』でも思ったけど、僕が坂元裕二に求めているものは坂元裕二のドラマであって、坂元裕二の映画ではないのだなと感じた。『花束みたいな恋をした』も『怪物』も今回の『ファーストキス 1ST KISS』も映画として充分に面白いのだけど、僕個人は別にこれ坂元裕二ではなくても書けたんじゃないかな…?と感じてしまったし、特に『怪物』以外の2作はこれがもしドラマだったら…と上映時間中ずーっと考えてしまった。僕は坂元裕二のドラマが見たくて見たくて、でももう坂元裕二はドラマを書いてくれないから仕方なく坂元裕二の映画を見に行っているけど、そこにあるのは僕が求めている『坂元裕二のドラマ』ではなく『坂元裕二の映画』なのだ。映画館で勝手に傷心している自分のメロさに笑ってしまった。ちなみに『ファーストキス 1ST KISS』は松たか子と松村北斗のメロさで保っている映画で、どちらかというとカップルとかお友達同士で見に行った方がいいかも。色々話したくなる映画ではある。僕はといえば、松村北斗のデッドエンドを避けるためタイムリープしまくる松たか子を見ながら、僕がもしタイムリープできるのであれば坂元裕二に映画ではなくドラマ脚本を書かせるために何度でもするだろうなと思った。
なんだかんだでロマンス欲が高まり夜はまたゲイクラブに繰り出した。色々あったけど明け方の富士そばがやっぱり美味かった。中毒している。

飲酒週間終了です!以上!

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