BG2, SoB, ケルドーンとエアリーの対話、信仰とは
<エルフのエアリーは、幼い時に人間に誘拐されてサーカスの見世物として過ごしたが、親切な老ノームに救われて信仰の道に入った。ケルドーンはパラディンの神トームに仕える正義のパラディン>
エアリー
「ケルドーン、ちょっと…聞いてもらっていい?」
ケルドーン
「もちろんいいとも、エアリー。何だね?」
エアリー
「わたしークアイル(エアリーの恩人の老ノーム)に勧められて聖職に就いたの。でも…でも私、この世界のことをほとんど知らなくて。クアイルは私にノームの神のベイアヴァン・ワイルドワンダラー*を信仰するよう教えたの…」
ケルドーン
「ベイアヴァン・ワイルドワンダラー、別名マスクト・リーフ、またフォレスト・ノーム。耳にしたことはあるが、彼のことはほとんど知らない。私は人間の神への学びに身を捧げてきたから。残念だけど」
エアリー
「私はエルフの神を何人か覚えているけど、ーああ、それもずっと昔のことなの。今の私は信仰から見れば、エルフでもノームでも人間でもなくて、そのーその全部の寄せ集めだわ…こんなふうなのは間違ってるんじゃないかしら、ケルドーン?」
ケルドーン
「間違ってる?いや、ある意味じゃ理想的だよ。信仰の対象はいろいろでも、君はその最も純粋なものに君自身を捧げてきたのだからね。君の真心に」
エアリー
「私の心?」
ケルドーン
「我々はみな、信仰する神々を種族によって分別しがちだ。自分に御利益が見込みやすい神とか、自分の生活に大きな影響力を持つ神とかにのみ祈りを捧げようとして。そして、それ以外の神は無視してしまう…」
「これまでの君の人生は楽じゃなかった、エアリー。だが、それなりに、君はたくさんのことを学んできたんだ」
エアリー
「まあ、ありがとう、ケルドーン…近いうちに、私が学んだいろいろなことっていうのを、あなたから教えてもらわなくっちゃ」
ケルドーン
「それとも私が君に教わるさ、エアリー、私のほうが君からね…」
*ベイアヴァンは森・自然・旅人などを守るノームの神。D&Dの世界には、人間には人間の、エルフにはエルフの、ノームにはノームのといったふうに、それぞれの族(モンスターにさえも!)に信仰する神さまが独自に存在する。だから、人間だから人間の神には詳しいがノームの神には詳しくない、ということも(そしてその反対も)珍しくないわけ。