BG1, ガラヒンヌ作『ノスフェラトゥ』
<カーニヴァルにて。人影の少ないカーニヴァル会場で、ひとりのパフォーマーが吸血鬼を題材にした哀歌を吟じている>
役者
「…してかの女はわが傍らに横たわる、いろ蒼白に成り果てて!
我は言いにきを、妖精の小道は恐ろしきもの、
この森を行く者に恐ろしきもの、誰であれ、
ノスフェラトゥが想いを懸けし乙女には、と―
かの女は身まかりたり、ああ、身まかりたり…」
「…宝に満ちし広間に、無造作に棺は置かれてあり、
そこへ来たるは、おぞましき悪魔のコウモリ!
血の如く赤き眼に、血の如く赤き毛なみ、
なれど、それにもまして赤きものは―
口元に輝く二本の鋭き犬歯なりき…」
「ガラヒンヌの最後にして最大の傑作『ノスフェラトゥ』は以上でございます。カーニヴァルの他の演目もお楽しみ下さい、お客さま方。何年もこのかた、これ以上のものは目にしたことがございません」
*ノスフェラトゥは吸血鬼(ドラキュラ伯爵)の異名。なお、上の詩も作者と言われるガラヒンヌも、どうやら架空のものであるらしい。BGのライターさんはなかなかの詩人とみえる…