BG2, SoA, ヤンとエアリーの会話、ワイバーンとグリフォン
<エアリーはアヴァリエル(有翼のエルフ)の若い女性だが、病で翼を失い飛べなくなっている。ヤンは陽気な老ノーム>
ヤン
「じゃ、あんたは翼のある種族の生まれなんじゃな。じゃろ、娘さん?」
エアリー
「は、はいーそうです、サー」
ヤン
「堅くならんでいいよ、嬢ちゃん。ヤンって呼んでくれ。わしは最近、元義理のきょうだいじゃったバート・ワンダーキンドを思い出しての。グリフォン*煽りの名人なんじゃ」
エアリー
「グ…グリフォン煽り?」
ヤン
「そうじゃとも。アムン(地名)のノーム一家でよくやる自前の商売での。いたって簡単じゃと聞いた。ワイバーン*をほんの2,3匹飼い馴らして、そいつに乗ってビューン!空をひとっ飛びして、運の悪いグリフォンのつい鼻先で、おちょくってやるのを売り物にするのじゃ」
エアリー
「まあ、ワイバーンが飼い馴らせるなんて思わなかったわ」
ヤン
「ほんとに?わしの知り合いは皆ペットのワイバーンを飼っとるよ。ワイバーンを馴らすのは文字通り児戯に等しい。わしも小さい頃よくやったもんじゃ。なぜそんなに簡単に馴らせるかというと、ワイバーンは亀に目がないからじゃよ。あの当時は、偶数の日には亀の雨、奇数の日には蛙の雨が降ったもんじゃ」
エアリー
「まさか、そんなのおかしいわ!」
ヤン
「わしもそう思っとったよ、日照りが到来するまではな。あの頃は殺気立っとるワイバーンがそこら中におった。うまい亀のミンチを堪能したあとで、ベーコンだけで我慢しろというわけにもいくまい?貴族のニンゲンが少々食われちまったが、それも仕方ないというもんじゃった」
「もちろん、もうその頃にはバートは大人気のグリフォン煽り人じゃったから、権力筋の者らも、わしらにワイバーンをつないで飼えとはよう命じんかったよ。これほど素晴らしいスポーツを継続させることに比べれば、貴族人口の損失などチッポケなもんじゃからな。からかわれてムッとするグリフォンの顔を眺めてやるほど、こっちをいい気分にさせてくれるものはないからの」
エアリー
「私も…私も飛べたらいいのに。私、ほんのーほんの小さかった時に飛んだきりなの」
ヤン
「心配ご無用じゃ、嬢ちゃん。そのうちバートが顔を出したら、あんたに空を飛ばせてやろう。ヤン=ヤンセンズ=フラッシャー=マスター=ブルーザー=メイツ(ヤン手製のミサイル)を尾っぽに結んだニワトリよりも速いぞ。いや、信じられんほどじゃよ!」
*鷲の頭と翼にライオンの胴体を有するモンスター。知能が高く、攻撃的。小人のノーム族はしばしば餌食にされる。
*巨大な翼と二足を有するドラゴン族の一種。あまり知能は高くない。