それでも続けてきた 〜継続する姿を眺めて考えたアレコレ〜

先週初めから、4コマ創作の手がパッタリと止まってしまった。
数年前からネタの出る日はほぼ毎日描き続けた4コマの話だ。恥ずかしながら、イラストの練習とネタ出しの訓練を兼ねて、現在も継続する4コマである。
きっかけはいろいろと複雑で一概にこれだ!とは言い切れないが、一番は「描いても無駄だ」と悟ったのではないかと思う。
僕は野球が好きなので野球に例えてみるが、4コマを更新することは打席に立つことに等しく、日々の更新の中でバッターボックスに立ち、思い切りバットを振るかのごとく更新ボタンを押す、空振りばかりの毎日だが、そのうちにまぐれでも何でも、ホームランが打てるのではないか、そんな淡い期待を抱えながら、日々更新を続けていた。

ふと「無駄だ」と頭をよぎったっきり、もうペンを握る力がなくなってしまった。
無理やりアイデアを殴り書きするも、今度は更新ボタンを押す勇気が湧かない。
結局この日は「もう無理」「こんな日もある」として更新を休むことにした。翌日も、その翌日も、ペンを持つ手が固まる。
そんな更新できない日が5日ほど続いた。

気持ちの落ち込む中、先日土曜日に開催された「カルカソンヌ日本選手権」の情報が目に入った。
日本全国津々浦々の予選を勝ち抜いた精鋭が、東京都の本線へと臨み、土曜日は各テーブルで熱戦が繰り広げられた。
ちなみに日本はカルカソンヌの強豪国で、オンラインで開催されたカルカソンヌワールドカップ(5人1チームのチーム戦)では、今年度も含む3年連続の優勝を果たしている。

ぼんやり眺めるタイムラインでは、全国各地の予選を勝ち抜いた名うてのカルカソンヌプレイヤーが優勝するぞと息巻いた。後日談となるが、タイムラインには「ありがとうございました」「楽しかった」など、参加各選手の爽やかな言葉が並んでいた。

念願だったオフラインでの大会、とはいえ、今もまだ感染症禍の恐怖が拭えない、そんな最中の運営だ。中には、大会の実施を心待ちにしながらも、相次ぐ大会自粛の流れに、志半ばにして挫折された方もいらっしゃったのではないか。
各選手はどういった想いを胸に、本線へと臨んだのだろう。

大会後に綴られたメビウスママのツイートを引用する。

カルカソンヌ日本選手権という大会でメビウスママが非常に嬉しく思うこと!ずーっとカルカソンヌを続けて実力を保持しながらこの大会に出場し続けてくれる人が居ること。そしてその人達がこのゲームの素晴らしさを拡散して新しい競技者を育ててくれていること(後略)

メビウスママのツイート(2022年8月27日)より

おそらく言葉の中にあるそんな方々も、本感染症禍で対面でプレイする環境すらはばかれ、目標を失う中、それでもずっとカルカソンヌを信じ、続けてきた、その気持ちの表れだったのかもしれない。

改めて思う。
「継続は力なり」というが、継続は本当に難しい。
それは継続するだけのモチベーションの維持を含めた、何かしらの報酬(ここでは金銭的なものや、いいね、RT、周りの応援などの総称としての意味合い)や目標のような存在がなくなった途端、その気持ちがパッタリと途絶えてしまう。

目の前の目標がなくなろうとも、意に関せず、憂うことなく、すぐに新たな目標を定め、自身のモチベーションを維持する、おそらくそんな強靭な心を持ち合わせた人間ならば、この先の環境下でも強く生きられるのだろう。
僕の場合は時間がかかった。
どうしても目の前の目標がなくなった瞬間に、頭より先に体が反応し、創作がパッタリと途絶えてしまった。
4コマしかり、クイズ制作しかり、2年前のゲームマーケット2020大阪、春が開催自粛となったあの日も、その前の職場でも、生まれてから何度も、そんな理不尽な状況を前に、僕はたびたび挫折の苦しみを味わったのかもしれない。

落ち込み沈んだときに、それでも続けるか、違う道を探すか。

今回のカルカソンヌ日本選手権やテストプレイを報告される制作者を眺めながら、すべての選手が「それでも続けてきた」そんな前向きとも呼べる気持ちであることを実感した。

弱い心のままの自分は、どうしても「環境の悪さ」「巡り合わせの不遇さ」を言い訳として、つらい気持ちに向き合うことを避けようとする。
継続する上で「今は苦しいから、またいつかやろう」と先延ばしにする気持ちは大きな障壁だ。がしかし、それらもいつかは腹を括り、自分の中に受け入れ、混濁併せ呑むより他にない。

それは決して妥協するわけではなく、焦ることなくじっとタイミングを待ち、いざという瞬間に、それまで磨き上げた刀を抜く、そのための準備期間なのだ、と。

なんとなくそんな気持ちで吹っ切れた自分は、また4コマを再開し、またゲームマーケット秋に向けた創作活動へと向き合うことにした。

思い立ったが吉日とばかりに立ち上げたテストプレイクイズ会も先ほど無事に終えることができた。
反省することも多い中、不安を吹き飛ばして実行に移せたことが、自分にとって何よりの成果だった。

僕も、結果としてできあがったものの評価はどうあれ、周囲の「続けてきた創作者」の後に続くよう、体と精神が続く限り、また全力で打席に立ち続けようと思う。

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