SISU/シス 不死身の男
第二次世界大戦におけるフィンランドの英雄を扱った映画。と聞くと、実話ベースのまじめな物語と思いがち。実際の戦車も出てくる。ナチスドイツの戦車隊が、フィンランドから撤退中に金鉱掘りの主人公と出くわし、金の取り合いから壮絶な戦闘に発展…という話。しかし、実はこれはいわゆるマーベルやDCなどのアメコミスーパーヒーロー物ぐらいのリアリティラインと思えばよかった。それは、物語が進むにつれて、主人公の「死ななさ」だんだん明らかになってくるのがいい。(以下ネタバレ)
最初、主人公はドイツ軍が仕掛けた地雷に馬ごと吹っ飛ばされる。当然馬はバラバラ。だが主人公は無事で、地雷を投げ返して戦闘に。ドイツ軍の射撃は鉄板で防ぐ。そのあたりまでは、ギリギリ「強いな…」で済むと思う。次は、主人公は水中戦から抜け出して逃走。今度は機関砲を喰らうも、敵兵を背中に担ぐことでクッションに。私はこの辺でライン超えました。その後、絞首刑にされるも、生存。飛行機に乗ったまま墜落するも、生存。「SISU」というのは、日本語にそのまま訳せない言葉で「不屈」とか、そういう意味らしいのだが、まさに彼自身がそれを体現していると言える。
ストーリーは単純といえば単純だが、ちゃんとカタルシスがあるし、女性達もただ助けられるだけの存在ではなく、自力で戦う展開も現代風でよいと思った。
唯一気になるのはナチスの英語で、フィンランド人はフィンランド語をしゃべっているだけに余計気になる。が、公式の町山智浩さんによる監督インタビューを聞くと、本来フィンランド語でやりたいが、世界に売るためには英語を入れていかないと、ということだったので、納得した。
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