護られなかった者たちへ を読んで
久々に小説を読みました。もくもくタイムでご一緒させていただいているayakoさんに勧められて、Kindleで耳読をしました。
この本は映画になっていて、今まさに劇場公開されている映画です。本を読み終わった今、キャストがしっかりしているので映画も観たくなっています。
ネタバレがあるかもしれないのでお読みになる方はご注意ください。
ayakoさんが、ほんとに面白くて一気に読んでしまったと豪語されるので、それならばと購入し、読み始めたら止まらなくなりました。
作者の中山七里さんは推理小説を書かれている作家さんで、前にモーツァルトとかショパンとかとついたタイトルの本を何冊か読んだことがありました。話に引き込むのがうまい作家さんです。
舞台となるのは震災後の宮城県仙台市です。生活保護に関わる話。社会保険事務所、生活保護を受けたい人、元受刑者と警察官が絡んできます。
話の展開は見事です。出てきた登場人物の名前を覚えていないと誰だっけ??とページをくくり直す羽目になるかも…ですが…。余談ですが、こういうとき、海外の推理小説にはしおりに登場人物の名前が全部書いてあるものがあって、助かるなあと思います(^.^;)
映画は見ていませんが(観たい!!)、社会の常識に一石を投じるものだと思いますし、ぜひ本もいろんな人に読んでもらって、いろんな感想を持ってもらえたらいいなあと思います。
ちなみに、震災後の宮城県と言えば、まだ完全に復興もしていなくて、いろんな意味で大変な場所だと思いますが、よくもそこを舞台にしたもんだと思いました。
実は今年の8月に、岩手県から宮城県にかけて延々と三陸海岸を車で南下してきました。震災の傷跡が残るどころか仮設住宅もまだ立ち並ぶ状態で、津波に持っていかれた場所はただ平らになっているところ、草地になっているところ、震災遺構として残されているところと様々でしたが、防潮堤が高く作られた場所、まだそれさえままならない場所があり、震災復興は終わってないなと強く感じてきたばかりです。
一介の旅行者でさえなんともいえない虚無感に襲われる景色が多々ありました。
そんな震災のあった地域を舞台に物語は展開していきます。
普通(?)に暮らしていると自分が属する社会の枠組みの中で生活保護の方と遭遇することはあまりないかもしれません。保護を受ける条件が、孤立無援の人であったり、生活保護費以上に収入を得ることはできないことが含まれているとすれば、通常社会で仕事をしている人との接点はそれほどないですよね。私はといえば、本業の仕事柄、生活保護の方々とは無縁ではありません。普段から関わりがありますし、孤独死などで警察から問い合わせがあったりすることもあります。それもあって、より身近に感じてしまいました。
生活保護という仕組みが人の命を護る制度であることを踏まえて、現場、この場合は社会保険事務所ですが、その可否を決める人達の重責さゆえのお役所対応とその背景にあるもの、そして今回のコロナで結果的に保健所が矢面に立って、入院できるかどうかについてまで決定しなくてはならなかったことの重さとの類似点も感じました。
厚労省と現場との大きな大きなズレとギャップ。
そんなものを改めて感じました。
この本を読まれた或いは映画を観られた皆さんはどうお感じでしょうか?
最後までおつきあいくださりありがとうございます(^_-)
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