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記者辞めたら何になる?


記者から企業の広報って王道?

マスコミって狭い業界です。ましてや記者ってなかなかつぶしがきかないといわれる職業です。

私の時代の記者は、ExcelやPowerPoint、Wordも使えない人がたくさんいました。原稿は情報流出の観点から、特別な仕様のシステムを使って書いていたので、普通の会社勤めならなんなくこなせることが、ナニソレ?みたいな先輩が多かったんですよね(今どきの記者は事情が違うと思いますが…)。

パターン① 新卒で会社に入って、そのまま記者としてキャリアを積むか
パターン② 早めに抜け、別の業界でまっさらに新しいキャリアを積むか
最近だと、30代前後で記者から企業の広報に転職する人が後を絶たないと聞きます。

確かに…、「あり」な選択肢だとは思います。企業からどういうプレスリリースが出たら、「取材してみたい!」と記者に思わせられるかは経験上、なんとなく分かります。地方であっても経済担当になれば、企業のプレスリリースは記者クラブのボックスに一日何十枚と投げ込まれ、日々情報の取捨選択をするからです。

ちなみに、私はプレスリリースで記事を書くのが嫌いでした。「面白いことは自分で見つけたい」そういうひねくれた性分だったので、プレスリリースで投げ込まれたものは不祥事系・決算以外、深堀りして取材したことがありません。いくつか質問をして、PRだな、、、と感じると冷めてしまうのです。

「広報」って例の県知事選のとき、すごく注目を集めましたよね。キラキラした人の職種みたいな扱いをされることに、いつ頃からか違和感をもっていました。記者をしていた頃は、企業にとって聞いてほしくないことを聞く相手が広報だったからです。そして、そういう時に答えてもらえない広報担当者とは距離を置いていました。それならば、広報ではなく、困ったときに言える範囲できちんと答えてくれる人を探そうと思っていました。「PR」よりも「危機管理能力の高さ」が求められるのが真の広報というイメージがあったんです。

「攻め」の記者が「守り」の広報になったとて、うまくいくんだろうか。
また、経営サイドが広報を事業戦略の要として位置付けていない場合(あくまでPRをメイン業務と位置付けている場合)、情報の打ち込みがないことは間々あるのではないか。その場合、ヤメ記者のセカンドキャリアとして広報はチャレンジングな仕事となり得るのか…。

広報として素晴らしいキャリアを気づいていらっしゃるヤメ記者の方もいることと思います。ただ、「記者のキャリアの延長戦」として企業の広報を選択するのは、慎重であるべきかなとも思う自分もいたりして…。

ヤメ記者後のつぎはぎだらけの私のキャリア

私自身は、金融業界→第二新卒として記者(10年未満)→退職という、中途半端な記者歴です。記者を辞める頃には精根尽き果て、結婚を機に「しばらく仕事から離れる」ことにしていました。

が、…。アドレナリンが出る生活に30代半ばまでどっぷり浸かっていた私は3ヵ月で、その方針を撤回。結婚生活との両立をすべく、また心の静養を求めて、17時に帰宅できる仕事を探し始めます。

当時の心境は「雇用形態にはこだわらず、とにかくなんでもやってみたい」。記者という仕事は、日によって、さまざまな業界や職種、生き様にふれさせて頂く仕事です。でも、自分自身はマスコミという狭い特殊な業界で生き、金融以外はどの業界でも経験という経験がない。「あーでもない」「こーでもない」と能書きはたれるくせに、地に足がついていないなとよく思っていたからです。

旦那も転勤族だったため、派遣社員や契約社員として色んな仕事を経験させて頂きました。記者という仕事で培ったコミュニケーション能力や現場での対応能力はどの職場でも活きました。

・大学で国際学会の運営。
・外資系小売企業日本支社代表の秘書。
・外資系医療機器の添付文書の翻訳。
・ベンチャーでの事業戦略立案のサポート(市場リサーチ、事業計画書の作成)。

どんな仕事も楽しかったし、やりがいがありました。責任は当然限定的でしたが、外資系企業やベンチャーでは「ああしよう」「こうしよう」「こうしたら、もっといいかも」と提案をすれば、どんどん仕事が広がっていく、そんな感覚がありました。

様々な業種で様々な仕事を経験したことによって、自分自身の強みや好きなことも改めて見えてきました。

その後、個人事業主として独立し、WEBコンテンツの立ち上げやWEBマーケティング、海外イベントへの出展などを経て、仲間と小さな合同会社を起ち上げました。今は中小企業の事業戦略のリデザインや、そのために必要な新規事業起ち上げ、リブランディングなどを行っています。また、ひょんなことから、個人として中小企業の事業承継のサポートをやらせて頂いています。

そんなこんなで私のキャリアはつぎはぎだらけのまま、40代半ばになろうとしています。

記者って、毎日が違いますよね。
今日は大きなニュースを追いかけているうちに一日が終わった…。
明日はその続報に必要な情報を仕込む…。
1週間後には、番組の企画ネタを追いかけている。
そういう世界で生きてきたはず。そんなジェットコースターのような毎日が苦しくなる時もあります。たまには予定が見通せる日もほしい。その気持ちもとてもよくわかります。

でも、ひとまず何かわからないけれど、リアルな現場を追いかけていたら、何かにたどり着いた、そんなキャリアも元記者としては面白いと思うんです。そして、毎日ネタに追われていた記者時代よりも、企業や社会の課題にリアルに触れ、その課題を解決するところまで、ともに走ることができる今の仕事を誇りに思っています。

ヤメ記者の選択肢が広がる何らかのきっかけになったらとても嬉しいです。

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