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息をするようにインド料理屋へ入店する男

今日こそは。

今日こそはあのナンを見切れずに写真に収めるんだ。そしてみんなに「こおんなに大きいんだあ!!」と驚愕してもらうんだ。
※上の写真は前回訪問時で見切れてしまったナンとカレー。

そう決心したのにも拘わらず、いざプレートが運ばれてくると、イメージの二回りは大きくて脳の処理が付いていかない。

おい、お前また大きくなったんじゃないか?親戚の叔父が、乗用車(年季は入っているが、手入れは行き届いている愛車)のシートベルトを締め、右ウインカーを出しながら、半年振りに会う小学5年生の甥っ子に問うた。そうかな・・と思春期を控えた甥は、自分の身長にはさほど興味を示さないふうを装って田舎町の景色を眺めているが内心少し嬉しい。来年の身体測定では196cmを計測してしまうんじゃないかと思いながら撮ったナンがこちらである。

やってしまった。動揺を隠し切れない見切れ。これでは、右手側にあと100cmナンが伸びている可能性を与えてしまう。
僕の座高があと10cm高かったならばナンの全容が収まったところだが、ナンのために座高を稼ぎたくない。おれはナンのために何のために生きているんだと自問することになるだろう。
今回の見切れをいま試合中のサッカーワールドカップ風に言い訳するならば、「急にナンが来たので」といったところか。5分前に頼んでるのに。
でも写真を見比べてほしい。今回の膨張は凄まじく、クリスマスに外国の人がオーブンレンジどころか、窯のようなところで焼き上げる七面鳥クラスではないだろうか。

先週はキーマカレーで辛さをMAX LEVEL5のうちLEVEL2にしたところ、拍子抜けするほど辛さがなく、まろやかに完食できた。
しかし、ここまで足を運んでまろやかさを求めはしない。頭のてっぺんから汗が吹き出るあの状態を求めているのだ。

というわけで辛さLEVEL3「中辛」にした。今回はバターチキンカレー。「すごく辛くてもバターで中和されてるかな?」という筆者の打算的な考え、臆病さ、置きにいった感じ、当てるだけのバッティングでサードゴロといった打席内容が窺える。

結果としては、僕が求めていた辛さはこれだった。途中で飲む水も、逆に辛さの助けになっちゃうあの感じ。LEVEL3のカレーをナンとライスでやりつつ、いそいそとサラダを挟んでみたり、おしぼりで顔を冷やしたりながら完食。

隣のテーブルでは女性がLEVEL2のカレーを涼しい顔で食べていた。「なんだこいつ動きがウルサイなあ」と思われていなければ幸いである。大丈夫、みんなナンの大きさでそれどころじゃないから。

帰り道の紫陽花が綺麗だった。お後がよろしいようで。


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