神経モビライゼーションとは?—科学的根拠に基づく解説
こんにちは!
運動療法ニキこと牛窪逸人です。
みなさんは、神経への理解や介入方法について知っていますか??
今回は、神経モビライゼーションについて解説していきます!!
神経モビライゼーション(Neurodynamics or Neural Mobilization)は、神経組織の可動性を向上させ、痛みや可動域制限を改善する徒手療法の一つです。
近年、神経の滑走性が低下すると、筋・骨格系の不調に関与する可能性が示唆されており、多くの研究がその有効性を検討しています。
神経モビライゼーションのメカニズム
神経組織は筋膜や関節と同様に、適切な可動性が必要です。外傷や姿勢不良により神経が癒着すると、滑走性が低下し、疼痛や感覚異常を引き起こすことがあります。神経モビライゼーションでは、末梢神経を軽く引き伸ばしたり、リズミカルな動きを加えることで、神経の滑走性を回復させることを目的とします。
科学的エビデンス
近年のシステマティックレビュー(Ellis et al., 2021)では、坐骨神経痛や手根管症候群などの神経障害に対し、神経モビライゼーションが痛み軽減と機能改善に有効であると報告されています。また、Shacklock (2005) によると、神経の可動性を改善することで、筋緊張の低下や血流促進が期待できるとされています。
スライダーとテンショナーの違い
神経モビライゼーションには「スライダー(滑走運動)」と「テンショナー(張力運動)」の2種類のアプローチがあります。
スライダー
神経を片側で引き出し、反対側で緩めるように動かす方法です。例えば、坐骨神経痛の場合、足を持ち上げながら首を下げるといった動きが該当します。これは神経の滑走性を改善し、血流を促進する効果が期待されます。テンショナー
神経を両側から引き伸ばす動作で、より強い張力をかける方法です。例えば、足を持ち上げると同時に首を上げることで、坐骨神経全体にテンションをかけることができます。これは神経の耐性向上や柔軟性改善に有効ですが、炎症が強い場合は悪化のリスクもあるため注意が必要です。
実践のポイント
神経モビライゼーションを行う際は、強いストレッチではなく、痛みを伴わない範囲で軽いテンションを加えることが重要です。症状に応じてスライダーとテンショナーを適切に使い分けることで、より効果的に神経機能を回復できます。
まとめ
神経モビライゼーションは、神経の可動性を高め、疼痛を軽減する手法として研究が進んでいます。特に、スライダーとテンショナーを適切に使い分けることで、安全かつ効果的に神経症状の改善を目指すことができます。