「遠回りこそ最短の道だった」 これほど勇気の出る言葉をほかに知らない
僕の好きな言葉に「遠回りこそ、一番の近道である」というものがある。
この言葉の解釈はいろいろだ。受け取った人によって、感じ方も違うだろうけど、僕にとってはとてもポジティブで、勇気をもらえる言葉なのだ。
それはきっと、僕が好きなふたりの人物が、全く同じことを語っているからなのかもしれない。
あれだけの偉業を成し遂げたイチロー選手が、「そんな気がする」と語った。「気がする」と。「本当の自分に出会えないのです」と断定しなかったのだ。
イチロー選手自身も、確信をもって発言しているわけではないというのが、とても曖昧で美しいなと思ったのだ。
本人も模索しながら、悩みながら、あらがいながら、それでも自分の道理・真実を信じつづけている。その姿が、儚くも力強く、僕の心を暖めてくれた。
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もうひとりはジャイロ・ツェペリだ。ジョジョの奇妙な冒険 スティール・ボール・ランの主人公である彼が語った、有名な言葉だ。
言葉の真意も、成り行きも、背景も、ぜひ漫画を読んで肌で感じてもらいたいから、ここでは語らない。
しかし意味するところはイチロー選手と似ていると、僕は解釈している。
自分が定めたゴールに向かって進むとき、みんなもちろん、真っ直ぐに目指すものだ。しかし現実には、その過程は直線ではないし、平坦でもない。ときには傷つき、迷い、後戻りすることもある。
けれどもそれらすべての点があるからこそ、ゴールにたどり着いた自分が、意味のある存在でいられるのだ。
ゴールというのは、ただ達成できれば良いものではない。そこに向かう過程そのものがゴールなのだと、僕は信じている。
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「遠回りこそ、最短の道だった」
確かに、いま振り返れば無駄だと思えるようなこともいっぱいある。過去に戻れたら、もっと有意義に時間を使えたんじゃないかと思えるときもあった。
でも、未来のことはわからない。過去のどういう行動が未来につながっているのか、誰にも知ることはできないのだ。
であれば僕にできることは、未来の自分が「いまがあってよかった」と思えるように、いまを懸命に生きるだけなのだ。それだけで、いまは無駄にならない。
この言葉がそばにある限り、僕はいま目の前にあることに全力をそそげる。いまの自分の行動に、勇気が出てくるのだ。
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