記録は出ません、ドツボの世界へようこそ、ローママラソン参戦記(妻)
3月17日に開催されたローママラソンに妻が参加するため、一緒に行ってきた。妻から聞いた参戦記+少し観戦記について記す。
0 背景
妻は学生時代はサブスリー(2:58)で1回走っており、その後、長期のブランクを経て、私のパリ赴任後、仕事を継続しつつも、空き時間を利用して、再び熱心に取り組んでいる。
社会人ベストは、昨年4月のパリマラソンで3:03で、次はサブスリーを、ということで、昨年10月のフランクフルトで挑戦するも失敗し、そして今回再度挑戦した。
家庭の事情で、私と妻が同じ大会に出ることは基本なく、また、お互いの仕事の多忙時期やマラソンの調整時期、子どもの予定なども考慮して、例えば、2月は私がセビージャを、3月は妻がローマを、そして翌月は私がパリを、という形である。
1 記録は出ません
ローマは観光地としてはぜひお勧めしたい。
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一方、マラソンの記録を狙うのならば絶対にお勧めしない、というのが妻の感想。
観光目的のファンランならば、コロッセオ、スペイン広場、ヴァチカンのサン・ピエトロ寺院をはじめ各種観光名所を回りながら走れるので、そういう観点ではお勧め。
絶対に勧めない理由は以下のとおり。
・石畳にはじまり、石畳におわる、というくらい石畳が多い。上の写真のとおり。
自身は日本でフルは30以上、ハーフやそれ以外を含めたら100本以上レースに出てきたが、ヨーロッパのような石畳を経験をしたことはなく、市内の石畳の上を幾度も走ったが、とにかく走りづらい。それがさらにレース後半となれば、一歩一歩、足が取られてしまうので、脚の力がしっかりしていないと、ロスばかりで、本当に疲れるだろう。パリはまだマシだが注意が必要なところ。
・最後の坂がきつい
小刻みなアップダウンが多いコースの印象だったが、妻曰く、途中は気にならない、最後の坂がきつい。
・暑かった
17日がたまたまだったというのもあろうが、日が相当に照っており、応援者でさえ半袖で暑かったので、さぞかし厳しいレースだった模様。給水で水をかなり被った、ようである。
その他、大会運営面でのマイナスポイントについて。
・観光客とランナー衝突
家族で約38km付近で応援したところ、妻が来たタイミングで、道路整備員がいるにも関わらずに、多くの観光客が強引にコースを横断するために、妻をはじめ複数のランナーと衝突。
転倒などはなかったものの、今後大きな事故を生じさせないためにも、観光地が多い故に、特に街の中心部での交通整備にさらに注意を払って欲しいと感じた一瞬であった。
・荷物預け時間
荷物はスタート開始の1時間前までに預ける必要があり、その後スタート会場への移動であり、天候が不順の場合には厳しくなろう。
2 素晴らしい点
プラスポイントについて触れたい。
・余裕があればとなろうが、コース中の街並みは間違いなく綺麗。
・応援充実で、雰囲気はよし。
・給水充実。暑かったこともあろうが、約3~4km毎に、給水、スポンジが豊富に提供。
・妻はトップカテゴリーで整列できることとなったところ、ウォーミングアップ会場やトイレ環境はかなり充実。トップカテゴリーには全員で50人程度しかいなかったということで、最上位層はアフリカ系のランナーとなる中で、ある種、非常に貴重な体験になった様子。
・ペースメーカーは2:50から5分毎に2人ずつ並列して走り、ペースを守る。後半は、2人は別々に分かれて、最後の最後まで、選手を鼓舞して、ペースメイクする様子には感銘を受けた模様。
・参加賞のTシャツが格好いい。また荷物預け用に、小さいリュックサックも提供され、参加賞の充実ぶりを感じた。
・その他、メインスポンサーの1つにHondaが含まれており、参加Tシャツにもその名前が含まれ、エキスポにはスポーツカーやバイクなど幅広く展示されていた。
・ローマだけに世界各国から多くのランナーが参加されていたようで、日本人ランナーも相応発見。
大会情報によると、マラソンには、合計19,000もの人が参加した模様。ファンランも合わせると40,000人以上で、イタリア記録を更新した模様。
私の「がんばれー」に笑顔で答えてくれたある日本人男性の方は、全体26位、2:29:58で走破されており、厳しい条件下でのそのタイム、順位はまさにあっぱれ。
また、以前私がジュネーブマラソンで一緒したランナーも妻の少し前を走っており、私の声に反応していただいた。
3 ドツボの世界へ
妻は昨年4月のパリまで社会人ベストを次々に更新してきたものの、マラソンはここ1年足踏み状態。
今回のレース後も非常に悔しそうにしていた。結果が出ない理由を自分なりに考えていたようで、その要因の一つを、十分に追い込みきれない自身の気力の問題とも考えている。
故障もなく、継続的にトレーニングを積んできただけに、記録が伴わない難しさ、悔しさは、自身もよく分かるし、その中で、目標をつかみとったときの達成感は格別である。
マラソンに限らず、競技歴が長くなるほど、うまくいくことの方が多くなる中で、自分の力はこんなものではない、悔しい、リベンジしたい、というのが続く。
まさに、ドツボの世界。
マラソンやトレイルをはじめ自分の限界への挑戦する者のコミュニティの外からみると、練習も本番もしんどいことをよくやるな、無理、という感情を抱くのは、通常のことだろう。
しかし、一度この世界に入り込んでしまうと、そういう刺激が欲しくなってくる。この感覚はランナーの多くの方には共感してもらえるのではないだろうか。
4 最後に
パリ以上に多くの日本人観光客を見かけたローマ。妻のマラソンがきっかけでローマの魅力の知る機会となった。
マラソン+観光、後者のみでいいという人が多かろうが、私はマラソン走った後のあの開放された気分の観光が好きだなぁ。今回はマラソンを走ってないので、観光のみ(+市内ジョギング)ではあったので、セビージャの時とは気分は異なった。