フランスランニング雑誌の!?(クレイジーランナー、マラソントレーニング、バレンシアマラソン)
昨年もフランスランニング雑誌について記事を書いたが、今年も、付録の2024年のフランス国内のマラソン大会ガイドブックを入手するため、同じ雑誌を購入したので、今年の驚き、気づきについて書きたい。
昨年のガイドには、5500の大会が記載されていたが、今年は6000。
何故500も増えたのだろうか。ここには、フランス以外にも近隣のスイス、ベルギーの大会の他、世界の主要マラソン(日本は東京マラソンのみ)やトレイル(日本はウルトラトレイル・マウントフジのみ)も記載されているとはいえ、毎週100以上も大会が開催されていることとを思うと驚くばかり。当然ながら、トラックレースは含まれていない。
付録の内容は置いておき、本誌を読んでの驚き、気づきを3点述べたい。
クレイジー過ぎるランナー
世界中どこにでもクレイジーな人がいるが、ある記事が目に付いた。
パリ在住のウルトラランナーのAlexandre Boucheixが、SanteLyon(156km or 78km:78kmは2021年に自身完走(過去記事参照))の4日前(注:11/28と思われる)に、チリのアタカマ砂漠、490kmを109時間37分で走破。ゼッケン、補給なしの大会と呼べないようなものというだけに、更にクレイジー。
ゆっくり長くというクレイジーは多いが、この人、SanteLyon(156km)に3度優勝し、UTMBで21位というから、レベルが違う。
あまりに衝撃だったので、更に調べてみた。
32歳。
2023年の結果は次のとおり。
- 11/3 161km(標高差:2586m+)@Swedenで15:34で2位
- 10/19 169km(9870m+)@フランス・レユニオン島で27:01で10位
- 9/30 74km(2610m+)@フランスで6:39で2位
- 9/1 175km(10040m+)@UTMBで23:03で21位
- 7/21 174km(11520m+)で途中棄権
- 6/9 160km(6720m+)@フランスで19:19で1位
- 4/22 115km(7290m+)@ポルトガルで14:59で6位
- 3/18 80km(1130m+)@パリで7:32で65位
- 2/18 94km(3670m+)で9:18で1位
100マイル級のレースを何回も出場する体力、精神力だけでもすごいのに、その1つ1つの結果がすごすぎる。
自分もTDSだが、昨夏に同じ地を走った者として(過去記事参照)化け物レベルを痛感するばかり。
昨夏UTMBの日本人最上位が43位だったようで、日本人の誰よりも強くかつ、各地で好成績を収めまくり、490kmの砂漠も、となると、その凄さを表せるだけの言葉が見つからない。
唯一、昨年12/2のSanteLyonは走らなかった点は、ちょっと安心した。
フランス流マラソントレーニング
昨年の雑誌ではサブ○を目指すトレーニングメニューに、タイム設定が一切無く、練習は心拍数と時間のみであったことに驚いたが、今年も同じ企画記事が掲載されており、自身も参考になったので、紹介する。
私としては、昨年のトレーニングメニューを実践した人の実話だったり、市民ランナーで活躍している人の取組の紹介だったりを見てみたい気はする。
・昨年同様、マラソントレーニングは、サブ4.5、4.0、3.5、3.0ともに、12週間(3ヶ月)で設定され、その練習頻度は、サブ4.5が週3、サブ4.0が週4、サブ3.5が週5、サブ3.0が週6。
・3ヶ月の考え方
- 最大酸素摂取量(VMA)(注:私の感覚は3000m~5000mのレースペース)の改善に向けそれに近い速さで短時間のセッション、脚筋力強化に向けた短い登り、怪我のリスクを回避するためのウエイトトレーニングが必要。
- はじめ2ヶ月:VMAとマラソンスピードのセッション、乳酸性作業閾値(注:私の感覚は10kmのレースペース)でのセッションによりスピード持久力の向上を目指す。
- 5週間前: ハーフマラソンに出て、7週間の反省を実施。
- 3週間前から:強度と量を徐々に減らす。最長でも90分を超えない。15日前にトレーニングを30%、最後の1週間は50%減らす。前日は、ゆっくり20分間。
- マラソンタイムの見込み:過去2ヶ月以内のハーフマラソンのタイムの2倍 + 10~20分(持久力に応じて+7分)
・具体例(サブ3の約1ヶ月前の8、9週目のメニュー(注:7週目のハーフマラソンが終了し、最後の強化期間))
8週目
セッション1:1時間の自転車又は自宅でのトレーニング(前週のハーフマラソンの回復)
セッション2:40~45分快調走
セッション3:25分アップ、5本流し(約80mを加速、間はジョグ30秒でつなぐ)、200m(36~44秒) X 5 X 2(つなぎは走時間と同じ、セット間2分)、10分ダウン
セッション4:40~50分快調走
セッション5:40分の自転車又は自宅トレーニング
セッション6:80~85分
9週目
セッション1: 25分アップ、5本流し、300m(56~65秒) X 5 X 2(つなぎは走時間と同じ、セット間2分)、10分ダウン
セッション2:40~45分快調走
セッション3:25分アップ、5本流し、1000m(3'35~3'55) X 2(つなぎは2’30)、2000m(7'20~8’00)(1000mと2000mの間は3分)、10分ダウン
セッション4:85~90分
セッション5:120~135分(マラソンペースで20分を2回(つなぎ3分)を含む)
セッション6:65~70分
バレンシアマラソン
私は2022年12月にバレンシアマラソンに参加して、そのときも記事も書いたが、昨年末のバレンシアも、超高速レースが繰り広げられた模様。
・(私は6大メジャーマラソンの次の候補はバレンシアと思っているが、)記者は、バレンシアは、6大メジャーに含まれないが、ランニングの街はマラソン界で輝き、本43回目の大会がスリリングであることを証明した、と書き始めている。
・その象徴として、やはり、競技レベルの高さを挙げている。男性の2時間6分未満は10名、女性の2時間21分未満は4名。昨年の優勝者で現世界記録保持者の大会記録(2:01:55)が更に更新(2:01:48)。20個の国内記録が更新。60人(うち9人がフランス)が五輪標準記録を突破。
・サブスリーは、完走者26,245名のうちの19.6%(約5100名)でベルリンマラソンの2倍。
・参加者は10年間で3倍となり、その60%が外国人参加者。フランスからの参加者数が最も多く、3,796名で、3年前の3倍。
・標高差34m。完璧な組織団体で、大会の雰囲気も快適。
・60歳でフランス・ニース在住の方は、2:34:47で、当カテゴリーのフランス記録、世界3位を記録したものの、飛行機のキャンセルにより前日夜の到着、スタート15分前のゼッケン入手の中、偉業を達成。
→エピソードがフランスらしいが、フランス記録を出す辺りはさすが。
・フランス女子で3位で、パリ五輪の標準記録(2:26:50)を破る2:25:48で、一躍フランス五輪候補になったManon Trapp。
→実は、彼女は、私が6年前に1年フランスに在住していた際に所属していたランニングクラブのチームメイト。
まだ23歳ながら、すでにクロスカントリーのフランス選手権3連覇、5000mも優勝、ヨーロッパ選手権にも出場(以下記事参照)。
彼女とは、昨年3月のリールハーフマラソンで再会。自分のことを覚えてもらっていて感激ではあったものの、レースでは、かつては私の後ろを走っていたかつての姿はなく、彼女は71分台、私は75分で完敗。彼女の五輪での活躍に声援を送りたい。
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