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「あるがままに生きる」勘違いはしてないか?


「こんちは~」

「あぁ、いらっしゃい。。」

「テンション低いなぁ~。どしたの?」
「あっ、またカップ焼きそば作ろうと思って、
お湯とソース一緒に入れちゃったとか? 笑」

「いやだなぁ~、そんなんじゃないですよー」
「あの~、あるがままに生きるって難しいですよね」

「は? 何? 哲学にでも目覚めた? 笑」

「この前、そんな本を読んでて、
自分はあるがままに生きられてるだろうかって。。」

「なるほどね。本屋に行けば、そんな本は五万とあるな」

「それだけみんな興味があるってことですよね!」

「そうかもしれないな。
あのさ、でもそういった本を読む人は根本的に、
その出発点から間違ってるんだよ」

「間違っている?どういうことですか?」

「そういう本を読むときは特に、
言葉の意味を考えながら読まなくてはいけない」
「あるがままに生きる。’’あるがまま’’ってどういう意味だい?」

「あるがまま。。そのまま、その通りのままってことですよね!」

「正解。正しいよ。ってことはさ、
あるがままに生きる方法なんてあると思うかい?」

「あるんじゃないですか?HOW TOみたいなものが」

「そういった本にはさ、
こうすればあるがままに生きられる、なんていくつもの方法が
書いてあるわけでしょ。でもそういう方法にしたがって生きる、
つまり何らかの方法やルールに従って生きるんだとしたら、
それはさっき君が言った’’そのまま’’ ’’その通りのまま’’に
生きることになるだろうか?わかるかい?」

「何か規則があれば、それが優先される。。
あるがままとは相反することになるってことですか?」

「そういうことさ。
以前本屋に行った時、こんな本すらあった。
’’あなたはリラックスしなければならない’’ 
リラックスするってみんな普通に使う言葉だけどさ、
何もしないからリラックス出来るわけでしょ。
’’リラックスする’’って、言葉ではあるけど、
何もしないのがリラックスするってことなんだ。
それをリラックスしなければならないって、
リラックスをなんらかの作業にしてしまったら、
リラックスなんて出来るわけないんだよ」

「あるがままと同じ例えなんですね!」

「そう。あるがままに生きるって、方法論ではないんだよ。
自分に日々やってくる思いや感情を、素直に受け入れるってことなんだ。
でもそう言うと必ずこう聞く人がいる。
それじゃ、朝眠くて起きたくなかったら仕事や学校があっても
寝てていいのか?気に食わないことがあって、
人を殴りたくなったら傷つけてもいいのか?」

「当然出てくる疑問ではありますね!」

「あるがままに生きるってことは、無軌道、身勝手に生きること、
反社会的に生きることとは違うよ。この社会で生きるためには、
もちろん規則やルール、倫理観みたいなものに従って生きることになる。
仕事や学校に行かなければ問題になるだろうし、
人を傷つければそれなりの罰を受ける。
でもそんなことは十分理解してることだろ?
それがあるがままに生きることの妨げには決してならない」

「そうですね!夏は暑いけど、
暑いことは嫌いだから夏なんてなくしたいのが本音。
だから夏のあるこの世界では、
あるがままに生きられないなんてことにはならないですもんね! 笑」

「わかるだろ?あるがままに生きるっていうのは、
どれだけ自分の気持ちに正直に生きられるのか?ってことなんだ。
人間は自分で自分を引き留めることの出来る唯一の生き物なんだよ。
それが人間の人間たる所以でもあるわけなんだけど、
こうしたいって気持ちがあっても、自分を過小評価してたり、
世間体なんかを気にしたりで、なかなか踏み出すことの出来ない人って
たくさんいるんだ。夏の暑いのが嫌いなら、
一日中涼しいところで出来る仕事を探したっていい。
自分を引き留めるのではなく、どれだけ自分の気持ちを優先して、
それを叶えてあげることが出来るかを考えることは、
この人生、とても大切なことだよ」

「あるがままに生きるって、何か特別な方法で生きることではなく、
自分に正直に生きるってことなんですね」

「そうさ。。そうやって自分を大切にして生きている人は、
何より自分が幸せなんだ。幸せな人が犯罪を犯したり、
人を傷つけようなんて思いを持ったりはしないものだよ」

「そう考えると、身につまされますね。自分を大事にして来たろうかって」

「マスターだって、自分の気持ちを大切にしてきたから、
こうしてCafeの経営なんて一つの夢をかなえられたわけでしょ。
自分の好きなこと、やりたいこと、そして自分の性格なんかも、
この命と同じで本当に尊い、言わば贈り物なんだ。
それをどこまで大切に育んでいけるかどうか?
それがあるがままに生きるってことの真の意味さ」

「それはいつだって、今からだって出来るってことですね!」

「もちろん!これから先、
どの瞬間だってあるがままに生きることを選択することは可能なんだ」

「それには時と場合で勇気も必要かもしれませんね」

「あぁ。でも自分の人生を守ることに真剣なら、
勇気を持つことも出来るんじゃないかな」

     「そうですね!はい、コーヒー入りましたよ」

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