環境音楽のススメ
「あぁ、いらっしゃい」
「こんちはー」
「あれ?それ、ギターですか?」
「うん、ちょっとメンテに出してたのが終わって返ってきたんだ」
「結構やってるんですか?」
「いやぁ、なかなかまとまって時間がなくてね~」
「最近、音楽はどんなの聴いてるんですか?」
「相変わらずロックやポップスの新譜なんかも聴くことは聞くんだけど、
あんまり長くは聴いてないかな。うるさくなっちゃってさ」
「やっぱり歳ですよ、歳! 笑」
「今度1回、ホントに殴るわ 笑」
「で、どんなの聴くんです? 笑」
「スムースジャズとか、ボサノヴァとか、聴いてても演奏しても
なんか気持ち良くてね」
「へぇ~、それはシャレオッですね」
「やめなさい 笑」
「それと、環境音楽ってわかるかなー?」
「どんなのですか?」
「環境音楽ってさ、いわゆるロックやポップスなんかのしっかり集中して
聴く音楽と違って、聴くことを強制させない音楽っていうか、家具の音楽
なんて言ってね。家具のごとく存在する音楽で、それを意識させない、
意図的に聴かれない音楽とも言われてるんだ」
「ほぉ~、よくわかりません 笑」
「あのね!笑 今はアンビエントミュージックなんていう方がわかりやすいかな。スローテンポな曲が多くて、ダイナミクス的な部分も少ないから、
例えば、勉強や事務的作業、ゲームとかやってるときに後ろで静かに流れてると、作業が捗ったり、瞑想や気持ちを落ち着ける、眠りにつく前に聞いて睡眠の質を上げるとかにも使われてたりするんだ」
「あ~なるほど、動画共有サイトにもたくさん上がってたりするやつですか?」
「そうそう!1時間とか長いのだと3時間、5時間なんてのもある!
どこで次の曲に移ったのかわかりにくかったりするからループしているようにも聞こえるんだよね」
「確かに何かやりながら聴くには最高ですね!」
「このアンビエントミュージックがもう少し音楽的になって
「CHILL~チル」なんて言うのもある。これはダンスフロアで踊り疲れた人が外へ出てクールダウンするのに聴く音楽なんて位置づけでね。
Lo-Fiのカッコいい音楽さ」
「今の現代人にも合ってるかもしれないですね。みんな日々疲れてるから」
「そうなんだ。ピッタリだと思う。重症の場合は(笑)単に自然環境音だけの、つまり雨音とか、森にいる鳥の鳴き声だけとか、波の音とかそんなのも心を落ち着けられて、いつまでも聴いていたくなる」
「と、いうことはお客さんも最近お疲れなんじゃないですか~?」
「そうかもしれないね 笑 でも、音楽ってそもそもそういう面が
あるじゃない?気分を上げたり、聴くことで癒されたりさ」
「そうですね~。いいもんですよね」
「僕はプロでも何でもないんだけど、そういう音楽、人を癒すことの出来る音楽なんてとても興味があるんだよ。そうやって音楽の世界に飛び込んだ一人でもあるんだからさ」
「どういうことですか?」
「小さい頃、いじめにあっていた時、音楽室で聴いたクラシック音楽に
ずいぶん慰められたもんさ。音楽がなかったら、きっと耐えられなかったと思う」
「そうでしたか~。それで音楽に。。」
「うん。僕にとって音楽は単なる趣味以上の、とても大きな意味があるものなんだ。それは今の、この歳になっても変わらない」
「素敵です。さ、コーヒー入りましたよ」
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