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悪夢ふたたび

先週月曜から復帰してからというもの、事あるごとに、それはもうしつこいくらいに「膝は大丈夫か?」と息子に確認していた。

その都度息子も「痛くないよ。大丈夫。」と答え、少しずつ不安も消え、おれも息子ももう大丈夫なんだと思っていた。

土曜日に練習試合があり、さすがにフルで出場は無理だが休み休み試合をこなした。

真夏のピッチは暑くて、ブランク明けの息子はとてもキツそうだったが、それでも何とか食らいついて走っていた。

出来は決して良くなかったが、休み休みとはいえ試合に参加できて、ブランクを取り戻すべくこれからまた頑張らんといかんな、なんて帰りの車中で話した。

翌日は公式戦。
朝7時ごろ、夜勤で職場にいたおれに妻の携帯から電話。出ると息子からだった。

「膝が痛い」

おれは言葉を失った。

は?

気のせいじゃないか?
もう少し待てばその痛みは消えるんじゃないか?

非現実的なことばかりが頭に浮かぶ。
事実を受け入れたくないという気持ちが返答を詰まらせる。

可能性としてこういうこともあるかもしれないとは認識していたが、まあ大丈夫だろうと思っていた。

復帰して、平日の間練習に毎日参加して痛みはなかった。
練習帰り凍らせた保冷剤を膝にあてながらアイシングもしていた。

それでもまた痛みが再発した。
目の前が真っ暗になる。

今の息子の生活や、大げさに言えば息子の人生にとって、サッカーは切っても切り離せない。
それを2カ月奪われ、ようやく復帰したと思ったらまた再発。

不条理にも再びサッカーを奪われようとしている息子を思うとそう簡単に返事が出来なかった。

冷やせば治るんじゃ?
少し動けば意外と出来るんじゃ?

多少強引でも試合に出ることで、「試合に出た」という事実が「膝が痛い」というトラブルを矮小化させるのではないかという幻想のような都合の良い考えも浮かんでくる。

だが、現実として息子は膝が痛い。ふつうに考えてやっぱり試合には出させられない。

とにかくその日の試合は出れないが、会場には行ってベンチから仲間のサポートをしな、と伝え電話を切る。

電話を切った後も気持ちが重かった。

なぜ痛みが再発したんだろうか。

焦らずに徐々に上げていこうという認識はあった。
だから練習も試合も途中で休みながら参加させた。

まあ、結局それが十分じゃなかったんだろうな。

チームの体制的に息子だけがリハビリ用の強度を落としたメニューで練習をすることが難しい。
だから休みながら通常練習や試合に参加していたのだが、それだとやはり強度がありすぎたのかも知れない。

だとすると、今の痛みが引いてまた復帰した時はどうしたらいいのか。

そもそもどれくらいでまた復帰できるのか。

最悪の場合また骨が剥がれていたりしたら、また振り出しに戻って2カ月静養だ。

前回とあわせると4カ月...。
ちょっとそれは勘弁してほしい。

数日様子を見て、その間に痛みが消えて何事もなかったようになることを願うも、翌日も翌々日も痛みは消えず病院に。

診断の結果、異常はなし。
前回2カ月サッカーを我慢して静養した末につながった骨も、剥がれることなくしっかりつながっていた。

ほっと胸を撫でおろす。

再復帰後はもう少し慎重に負荷をかけていかないといけないな。
復帰の喜びもあってすこしハシャいでしまったのかも知れない。

診察時に先生に「もしアレでしたら(この病院の)リハビリの先生から体の使い方の指導を受けられてもいいかもしれませんね」とアドバイスをもらう。

そうか。そういう対処も考えていかんといかんかもな。

スポーツにケガは付きものだが、やっぱり可能な限りケガはしたくない。
特に成長期の未来ある子どもたちならなおさらだ。

そう思って2カ月も我慢させ、万全を期して復帰したはずがちょっとしたミスでまた痛んでしまった。

これって虐待になってないか?と不安にもなった。

焦らず。じっくり。

それがいちばん難しい。


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