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サンティミエ(スイス)で行われた国際アナキスト会議の報告

原文:http://trise.org/2023/07/25/report-from-the-international-anarchist-meeting-in-st-oimier-switzerland/
原文掲載日:2023年7月25日
著者:Efthymis Hadjitheodorou

Aftoleksiの同志達に向けたEfthymis Hadjitheodorouのフォトルポルタージュ

ジュラ山麓に見られる平等な人間関係、労働者たちの間に見られる思想と表現の独立、運動に対する彼らのかぎりない献身などは、それよりもはるかに強く私の心をゆり動かした。こうして、時計工たちの間でおよそ一週間すごした後にこの山地を離れたとき、社会主義に対する私の考えはきまっていた。私はアナーキストになっていたのである。

クロポトキン著、「ある革命家の手記」(下)、高杉一郎訳、岩波文庫、78~79ページ

日曜日(7月23日)、スイスのサンティミエで行われた国際アナキスト会議が閉会した。バクーニンのアナキスト゠インターナショナルから150年、ベルンとジュラ山麓を隔てる同じ小さな谷間の町に世界中から数千人のアナキストと反権威主義者を再び迎え、4日間のイベントと議論が行われた。

皆さん!これはフェスティバルではありません。自主組織型イベントです。実行には多くのボランティアが必要で、今も募集中です。シフトのチェックを宜しくお願いします!

アナーキー2023(会議の公式名称)は地理的にこの町全体で行われ、多くの市庁舎(もっと多く)が様々な目的でイベント開催場所に割り当てられていた。キャンプエリアがあり、議論・ワークショップ・情報交換・コンサートのための様々なスペースがあった。
また、キャンプの寒さ(夜には気温が10度になった)に悩まされたくない人達には体育館が解放され、シス男性用無料宿泊施設と託児所もあった。

さらに注目すべきことだが、宿泊とワークショップは無料で、食事も無料提供されていた。

サンティミエに到着して、私達はどうすべきか分からなかった。主催者はコーディネーター役に徹すると決めており、フェスティバルが成功したかどうかの判断は、訪問者個々人による現実的貢献・政治的貢献に委ねられていた。

つまり、現実レベルでは、個々人が、スムーズな運営に必要な数百あるシフトのどれかに参加すると申告し、毎日1~3時間をそのシフトに捧げるという意味だった。仕事は、駐車場の手伝い・清掃・毎日3千食分の調理・パトロールなど多岐にわたっていた。

政治レベルで指摘しておかねばならないのは、どのような個人やグループでも具体的企画を提案できるインターネット゠プラットフォームが用意されており、様々なイベントと議論がプログラムの中に組み込まれたという点である。そのため、テーマは驚くほど多様で、ライフタイル体験の情報交換(「政治的行為としてのヒッチハイク」「金銭なしに生活する方法」)から、闘争の最新情報(「イタリアでの極右台頭」「チリの叛乱から4年」「アトランタのストップ゠コップ゠シティにおけるジョージ゠フロイド叛乱の遺産」)、活動家のワークショップ(「左翼の論理から自身の運動を守る方法」「ブラックブロックでの行動方法」)まであった。

こうした多様性があったため、それぞれが政治的に対立し合うイベントもあった。ロシアによる侵攻の問題を扱ったものは議論が最も白熱した例であろう。この戦争に関するイベントの大部分が、アナキズム政治の根幹としてウクライナの自衛権を受け入れていたものの、反軍国主義運動の中には、戦争終結こそが反権威主義が今掲げるべき第一の目標だと見なす人々もいた。

個人的には、この侵攻に対して能動的に抵抗しているロシア・ウクライナ・ベラルーシのアナキスト達が行ったイベントは会議の中で最も興味深いものの一つだったと思う。様々な組織と集団が活動していると知り、欧米と現地の運動分析にギャップがあると学んだからである。この議論では、ギャップについて三つの理由が強調されていた。情報とネットワーク活動が欠如していること・欧米人が「安全な立場から」ロマンティックな理想主義を使っていること・権威主義左翼の分析がアナキスト集団に浸透していることである。

7月22日(土)にはクルド人組織が呼び掛けた条約調印100周年反対デモ行進がローザンヌであった。会議に参加した多くの反権威主義者はこのデモも支援していた。

この会議でギリシャの存在感がなかったわけではない。サンティミエのアイスホッケーリンクで終日行われたブックフェアには、アナキズム政治組織(APO)のテーブルが常設された。また、金曜日の夕方には、難民スクウォットのノータラス26(Notaras 26)の人々が、クラヴ゠ボカ(Krav Boca)のコンサート開始前にピュロスの犯罪に対する介入を主張した。最後に、フランス系ギリシャ人のアナキスト映画監督ヤニス゠ヨウロンダス(Yannis Youloundas)が最新作『私達は破滅を恐れない』から幾つかのシーンを上映し、その後討論が行われた。この映画は、2019年7月にミツォタキスが首相に選ばれて以降のギリシャ゠アナキズム運動を調べたものである。

日曜日の正午、サンティミエの中央スクエアで革命的アナキストの歌が朗読され、フェスティバルは終わった。世界中から来た反権威主義者達は、拳を掲げて10年後の再会を約束し、自由社会に向けた闘争を後退させないと誓い合っていた。

2023年7月25日

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