ベネズエラ選挙後の混乱
原文:https://freedomnews.org.uk/2024/08/01/venezuela-post-election-unrest/
原文掲載日:2024年8月1日
著者:マテオ゠スガンバティ(Mateo Sgambati)
写真は2024年7月29日にベネズエラのバレンシアで抗議行動を行う集団(フアン゠カルロス゠ヘルナンデス、AFP)
マドゥロを支持する左派は、国内問題は米国の経済制裁のせいだとしているが、労働者の権利喪失と社会的指導者の迫害も無視できない。
ベネズエラは大統領選挙後に対立が拡大し、クーデターの可能性に直面している。大統領選では二人の主要候補が互いに相手の欠格を主張し、双方が早々に勝利を主張していた。一方は権威主義のために非難され、内紛と米国の経済制裁支持を失った与党である。もう一方は、マドゥロの勝利に明らかにショックを受けている外部勢力に支持された反対は右翼である。
7月28日、選挙管理委員会(Consejo Nacional Electoral、CNE)のエルビス゠アモロソ委員長は、与党を支持する「断固たる不可逆的傾向」を発表し、ニコラス゠マドゥロ大統領の2025年から2031年の任期を宣言した。与党の主要ライバルであるエドゥムンド゠ゴンサレスは選挙違反に関する多数の苦情を理由に、結果の承認を拒否し、当局は見直しを約束していた。
野党は、ミラフローレス宮殿(大統領官邸)から与党を追放したいと民衆が望んでいると繰り返し強調したものの、マドゥロが再選した場合の明確なプランを選挙期間中に示していなかった。野党指導者マリア゠コリナ゠マチャドは、2019年にベネズエラの法律を破って米国の介入を要求したため立候補できなかったが、この運動は政治的にも道徳的にも、そして投票でも勝利したと主張した。
予想通り、米国の世論調査機関はこの結果をバカげていると一蹴し、3対2で野党に有利な傾向があると指摘した。米国務長官アントニー゠ブリンケンは、米国は「発表された結果はベネズエラ民衆の意志や投票を反映していないことに深刻な懸念」を抱いていると表明した。
ラテンアメリカで選挙の勝利を拒絶することは一般的に見られ、ベネズエラでは、2002年以来、積年の伝統となっている。米帝に不利な結果を覆すためだ。このシナリオはカリブ諸国で繰り返し展開されてきたが、今回の国際的反応はこれまでとは異なっている。米国・英国・EUで形成された連合からの反応も、中国・ロシア・キューバ・ニカラグアといった歴史的にチャベス派政権とマドゥロ政権の断固に擁護してきた国家の反応も予想通りだった。それを除けば、ブラジル・コロンビア・メヒコといった地方の政府は中立を保ち、急いで結果を非難したり承認したりする前に、選挙記録の再調査をするよう呼び掛けている。
ベネズエラの文脈で、野党は国内諸問題をマドゥロ政権のせいだと非難し、マドゥロを支持する左翼は米国の経済制裁のせいにしている。過去数年間で、こうした経済封鎖は食料と医薬品の不足をもたらし、800万人以上という驚くべき規模で難民が流出し、数千のベネズエラ人が死んだ。ベネズエラは今やこの地域の案山子となり、他の左翼運動の弊害になっている。
しかし、ウゴ゠チャベスとニコラス゠マドゥロと歴史的に盟友関係にあったベネズエラ共産党(Partido Comunista de Venezuela、PCV)や社会主義労働者同盟(Liga de Trabajadores por el Socialismo、LTS)は、マドゥロ政権とは距離を置き、権威主義だと非難している。多くの外的要因がベネズエラを脅かしているが、労働者の権利の喪失と社会的指導者の迫害は無視できない。同様に、右翼の野党が繰り返し政府への攻撃を試みているのは、外部の団体から継続的な資金提供と指導があり、それに加担する国際メディアの支援があるからに他ならないのだ。