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パニックになるな、組織しよう:トランプ2期目の契機を迎えて

原文:https://blackrosefed.org/dont-panic-organize-trump-election/
原文掲載日:2024年11月6日
著者:ブラックローズ/ローサネグラ対外教育委員会(EEC)

ドナルド゠トランプがまたもや大統領の座に就いた。その対応策を以下に提言する。

このテキストの最後に、一群の記事やオーディオ作品など、私達が組織作りの「オンランプ」と呼んでいるリソースを掲載した。

1.戦う以外に選択肢はない

あらゆる選挙もそうだが、この選挙の「選択」は私達に何の選択肢も与えなかった。一方は公然たる反動綱領、他方は友好的な顔つきの大量虐殺だった。それでも、トランプの勝利は決して避けられないわけではなかった。

民主党は、綱領を見直す機会を与えられたにもかかわらず、姿勢を大きく変えず、代役に交代させた。これを最も顕著に示しているのが、バイデンが、そしてその後のハリスも、ガザとレバノンでイスラエルが行っている大量虐殺戦争への米国の支援を(止めることはおろか)遅延することさえも拒否し、イスラム教徒とアラブ系米国人の票を犠牲にしようとした点だ。

しかし、他の要因も大きかった。民主党は、利益追求の便乗値上げ・生活費問題・住宅問題・身体的自律・医療といった複合的危機に対処する計画らしきものすら明確に打ち出せなかった。

今や、トランプが異常だと主張できない。彼は、アップルパイと同じぐらい米国的であり、米国社会を構成する支配システムの産物である。第二次トランプ政権と対決しようとするなら、この支配システムとも対決しなければならない。そのためには組織・勇気・献身が必要である。

というわけで、今、私達はここにいる。目下、恐怖・怒り・絶望を感じているかもしれないが、後退する時ではない。前進する時なのだ。

2.街頭に出る

大規模なデモと抗議行動は、精神を高揚させ、共通の目的意識を醸成し、組織化された運動の潜在力を公的に示す上で重要な役割を果たす。これらは、危機や大事件--私達が今経験しているような--が起きた直後には特に重要である。

しかし、デモだけでは不充分だ。何十年も、私達は大規模デモ行進の限界を見てきた。象徴的な意味で強力であっても、事態の趨勢を劇的に変化させるのに必要な類の影響力を生み出せない。この影響力を生み出すために、私達がすべきなのは・・・

3.組織を作る

日常的な社会生活の諸制度の中で組織を作り、勢力を構築することで、街頭のエネルギーを家に持ち帰ろう。具体的には、職場の労働組合・アパートのテナント組合・町内の集会・学校の学生組織といった組織作りである。

こうした組織が既に存在している場所では、一般民衆が下から指導する能力を構築し、それらを効果的な戦闘組織に変えることが私達の課題となる。

誤解しないでいただきたい。こうした作業はどれも単純でも簡単でもない。お忘れなく!

この契機に対応し、トランプが計画している最悪の事態に立ち向かい、自分達を守り、究極的に社会を下から変革できる本物の実質的影響力を創造したいのなら、私達が働き・暮らし・学ぶ場所で民衆権力を行使できる持続的組織を構築しなければならない。

勢力を構築するためにどこでどのように組織を作り始めればいいのかのポイントは、この記事の最後にある組織作りの「オンランプ」をご覧いただきたい。私達は組織化しなければならない。そうすれば・・・

4.運動を成長させる

トランプの1期目で見たように、今、何百万もの人々が自分達の不満をぶつける場所を探している。多くが、資本主義と国家に対する体系的批判の展開を受け入れるだろう。私達は両手を広げ、忍耐と優しさを持ってこうした新しい仲間を迎え入れる準備をしなければならない。

私達の運動は、パターナリズムも無構造も拒絶しつつ、真に民主的でボトムアップの構造を維持しながら、民衆を教育し、効果的な闘争手段を身に付けさせる場でなければならない。

私達は排他的な活動家のクラブハウスを作ろうとしているのではない。反撃し、勝利できる戦闘的大衆運動を作ろうとしているのだ。真に歓迎され、民主的で、一般民衆が主導する様々な運動と運動組織は可能性を秘めている。その可能性とは・・・

2017年のトランプによる「イスラム教徒入国禁止令」の際、様々な運動が米国各地の空港を封鎖した。

5.痛い目に合わせる

行動する日々は自分の怒りが自分だけではないと強く示してくれる。しかし、抗議行動の指導者達が、抑圧的政策を支持・実行する上で重要な役割を果たしている人物と制度に対して正当な怒りを向けることは滅多にない。

トランプの1期目で、様々な運動は集団的圧力を集中させることを学んだ。例えば、空港を標的にした大規模な封鎖や移民歓迎パーティで、トランプが最初に行おうとしたイスラム教徒入国禁止を妨害した。その後、数千人が移民税関執行局(ICE)施設の外にテント村を設営し、政権による悪質な「檻の中の子供達」・「子供の分離」政策を終わらせるよう要求した。

次期政権の抑圧的政策に対抗するために、私達は戦略的標的を特定し、政権に私達の集団的力を思い知らせねばならない。

しかし、抗議デモ行進や抗議行動によって短期間は通常の社会機能を妨害できるかもしれないが、たとえ抗議行動が長期化したとしても、日常的な闘争の場(職場・町内・学校)での組織の方がより深い、より長期的な混乱を創り出し、実際に痛い目に合わせてやれる。トランプの最初の任期中にも実例を見た。町内集会モデルを使って実験した人達が、ICEの活動を妨害し、移民の保護に成功したのである。

一旦組織と勢力を構築したなら、労働・賃貸・学生ストライキなど、普段の生活・政治を妨害できる対決的大衆戦術でそれを行使しなければならない。

しかし、冒頭で述べたように、トランプはより広範な支配システムの1つの兆候に過ぎない。このシステムと戦い、最終的に終焉させるためには、長期的戦略が必要だ。つまり・・・

6.民衆権力を確立する

この契機に取り組む上で喫緊の課題は、組織を構築し、破壊的戦術によって力を発揮することである。しかし、そこで立ち止まるわけにはいかない。

組織的に引き起こした混乱は私達の真の力を味あわせてくれる。私達がこの世界を動かしているのであり、それを止めることもできるのだ。しかし、私達が暮らし・働き・勉強する場所を民主的に管理するというのは、それも永続的に管理するというのは、どのようなことなのだろうか?

私達はこれを民衆権力と呼んでいる。戦闘的社会運動が、各々の日常的諸制度を支配するために必要な力を民衆に与える能力である。現在の契機に取り組む組織と勢力を構築することは、このより大きな民衆権力に向けた一歩なのだ。

パレスチナ解放を支持するデモに参加するブラックローズ/ローサネグラのメンバー。

7.政治的拠点を見つける

日常的闘争現場に根差した組織は有効な大衆社会運動の最前線だが、同時に私達は、この契機を超えて革命的地平に拡大する政治的視点・戦略・戦術を発展させる場を持つことも重要だと考えている。

ブラックローズ/ローザネグラは私達の政治的拠点である。共に戦略を立てることで、共に行動し、社会革命とリバータリアン社会主義という究極の目標に向けて皆が同じ方向に突き進めるようになる。

私達の政治綱領:潮流を変える

勢力構築の組織化に携わっている方は、是非私達に連絡していただきたい


組織作りのオンランプ

単なるデモ行進や単発の行動ではなく、勢力構築を目的とする形での組織作りに慣れていない場合、どのようにしてどこで繋がればいいのか迷うだろう。

ここに、現在進行中のキャンペーンを中心に、政治理論と行動に関する記事・ポッドキャストなどアクセスしやすい様々なリソースを集めた。

これらのトピックスについて深く掘り下げるには、セクター別組織化アナキズム理論のページをお薦めする。

アナキズムの政治理論と戦略

パレスチナ解放に向けて

職場の組織化

町内の組織化

キャンパスの組織化

身体的自律の闘争

アボリションの闘争

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