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孤独の宰相⑧

2016年、政府は、国が管理する施設を「観光資源」に位置付けようと、内部の一般公開や設備拡張を行なった。フランス パリでのベルサイユ宮殿が、観光スポットとして人気となっていることを背景に、それに追随する形だ。この調整に際して、宮内庁や内閣からも批判が相次いだが、当時、内閣官房長官だった菅さんが剛腕を奮って見事に実現に至った。

2018年、小野薬品工業の免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の薬価を、11月より大幅に値下げられる事が決まった。 引き下げ幅は37.5%で、薬価は100mg1瓶で27万8029円から17万3768円まで下がった。オプジーボとは、がん細胞を撃退するT-細胞が正常に機能できる環境を作り出す薬であり、がん治療薬として期待されていた。これも、厚生労働省との難しい調整を、菅さんが取り仕切った。

2021年、農林水産品の海外輸出は初の1兆円を突破した。質は十分世界で戦えるものであっても、手続きが非常に煩雑で、海外輸出の大きなボトルネックとなっていた。しかし農水省に、検査や認定、輸出相手国との国際交渉などを一元的に管理する「輸出本部」を設置し、輸出拡大に拍車が掛かった。2030年までには輸出額5兆円を目標にしているようだ。

菅さんは、官房長官時代から、縦割り行政や既得権益を破壊し、国民の利益に直結することを断行してきた印象だ。総理大臣になってからも、新型コロナウィルス感染拡大の解決の糸口をワクチン接種に見出し、海外のワクチン確保に奔走し、先進国の中でもトップクラスのワクチン接種率、そして感染者死亡者の食い止めに繋げた。さらには不妊治療の保険適用やデジタル庁設立など、喫緊の課題にも対応した。

菅さんが関わった政策には、やはり枚挙に暇がない。

マスメディアに依存せず、適切な情報を自らキャッチしている方であれば、彼の決断力や実行力、そして長い物には巻かれないスタイルは、国のリーダーとして相応しい人物であることが分かるだろう。

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