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子どもに多い踵の痛み

こんにちは

僕は理学療法士として普段は高齢者の方を対象に訪問リハビリをしている傍ら、

スポーツトレーナー、コーチとして小学生や中学生のサッカーやフットサルの指導に関わっています。

そこでよく「走ると踵が痛い」と訴える子どもたちを目にします。

今回はこの踵の痛みについて解説します。

踵骨骨端症(シーバー病)

スポーツをしている子の踵の痛みの多くは踵骨骨端症(シーバー病)と呼ばれるものです。

サッカーなど長時間走る激しいスポーツやジャンプを繰り返すスポーツをしている子どもがなりやすいです。

痛みは日常生活に支障がないレベルから歩けない程の痛みまで人によって程度は違います。

成長期の子どもの踵は成長軟骨と踵骨骨端核で構成された骨端線というものがあります。
(成人になると骨端線はなくなります)

軟骨でできた組織の集合体なので周りの骨と比べて柔らかいです。

そこにダメージが繰り返し加わることで血行障害、炎症が起こることで発症します。

原因を構造から理解する

基本的には繰り返しの負荷が加わることで発症しますが、

同じトレーニングをしても痛くなる子とならない子がいるのはなぜでしょうか?

それを知ることで予防に繋がります。

そこで解剖学。

足の骨は片足だけで28個もの骨から構成されています。

その中の踵の骨は踵骨と言います。

この踵骨には下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)がアキレス腱となり付着しています。
“ふくらはぎ”と言われる部位の筋肉です。

もう一つ、足底腱膜が付着しています。
こちらは足の裏にあります。

まず、表面的な原因としてアキレス腱、足底腱膜が硬いと踵骨に加わる牽引ストレスは増大するため炎症が起きやすくなります。

アキレス腱と足底腱膜は関係性が深く繋がりを持っているので、どちらか一方だけが柔らかい、硬いということはほとんどありません。

つまり、踵骨骨端症(シーバー病)になる子ども達はどちらも硬いことが多いです。

そこで、足底腱膜の機能に着目します。

足底腱膜の役割で重要なのは足のアーチをサポートするというところです。

踵が痛くなる子ども達の多くは、扁平足または肥満体質であることが多いです。

扁平足とは?

扁平足とは足のアーチが潰れてしまった状態です。

一般的には“土踏まずがない”と表現されます。

赤ちゃんの頃はみんな元々アーチはありませんが、3〜4歳ごろから発達し始め、8歳頃には形成されます。

その時期になってもアーチ(土踏まず)が無い人を扁平足と言います。

足のアーチには以下の3つがあります、
①内側縦アーチ
②外側縦アーチ
③横アーチ

これらがあることで、
バネ作用(推進力)
クッション作用(衝撃緩衝)
バランス作用(姿勢が崩れるのを防ぐ)

という役割を果たします。

扁平足になるとこの機能が十分に働かなくなるのでサッカーなどのパフォーマンスにも影響を与えます。

扁平足になってしまう原因で良くあるのがの問題です。

靴選びの重要性

扁平足になってしまう子はサイズの合わない靴を履いている(履いていた)場合が多いです。

子どもの成長は早いので、ついつい大きい靴を買ってしまいがちです。

しかし、靴のサイズが合っていないと、靴の中で足が動いてしまい余計な負荷(ストレス)が加わり続けます。

3〜4ヶ月ごとにサイズをチェックするなど、コストはかかるかもしれませんが、足に合った靴を履くことをオススメします。

スポーツのためだけではなく、今や人生100年時代と言われ、高齢者になっても自分の足で歩き続けるためにもとても重要です。

歳をとって膝が痛い、腰が痛い、転倒しやすい原因を探っていくと足のアーチの問題に直面することは多々あります。

また、今の時代はコンクリートが多く、素足で遊ぶ機会が少なくなっていることも扁平足の子が多くなっている要因とも言われています。

加えて、靴もクッション性の良いものが多く、靴の機能に頼り、人間の足の機能が衰えてしまうことも考えられます。

バスケで有名なマイケルジョーダン選手は、ソール(靴底)が固いシューズを好んでいた事は有名な話です。

私自身も子どもにはあまりクッション性のない靴を履かせるようにしています。
素足感覚に近いものを選びます。

元々、私たちの足にはクッション作用を有しています。

マラソン選手のように長時間固いアスファルトの上を走るような競技でない限り、あまり靴の機能に頼るべきではありません。

そもそも、サッカーのスパイクなどはクッション性ありませんから。

普段のシューズにクッション性のあるものを履くことのデメリットも感じます。

最後に

足の機能を高めるためにオススメなのは砂浜など不安定で柔らかい地面を裸足で歩く事です。

また、運動後など、ふくらはぎや足の裏のケアはしっかり行いましょう。

既に痛みがある方はまずは安静が大事です。重症化すると剥離骨折することもあるのでご注意を。

安静も2週間くらいが目安とは言われています。その期間はスポーツは出来なくても四つ這いでの運動など身体機能を高めるトレーニングは行えます。
(但し、専門家によるトレーニングをお勧めします。間違った方法では悪化させてしまうこともあるので)

既に扁平足の方などは、足の機能を高めるトレーニングやケアはしつつ、必要ならインソールなどで対応していくことも大切です。
この辺りも専門の方に相談することをお勧めします。

解剖の部分はもっと詳しく書こうと思っていましたが、今回は専門家向けではなく、一般の方向けに書いてみました。

ご参考になりましたら幸いです。

お読みいただきありがとうございました。

感謝・謙虚・敬意
知行合一・積土成山
岩瀬 勝覚