高橋名人の教えは役に立たない

プロゲーマーの元祖と言われる高橋名人。
さまざまな教訓をゲーマーに示しているが、その教えは現代では通用しなくなってきている。

「ゲームは1日1時間」では成功できない


最も有名な高橋名人の言葉は「ゲームは1日1時間」だが、eスポーツとゲーム実況が全盛のいま、もはや時代遅れとなっている。
専業のプロゲーマーはフルタイムでゲームをするのが仕事だ。
1日8時間の練習が当然のように求められるし、アマチュアの時から常軌を逸した長時間ゲームを自発的にやってきたからプロになれる。
ゲーム実況を生業にする配信者(ストリーマー・VTuber)も同じだ。
ゲーム実況の主戦場であるTwitchでは、2時間以上の長時間配信が必須と言っていい。
ずっと配信していないと目に入らず認知度が上がらない。
人気配信者を見てるとわかるが、夜7時からのイベントで5時間ゲームした後、二次会で翌朝の7時までゲームするような鉄人だらけだ。

プロゲーマーにしろ配信者にしろ、成功するには長時間のゲームプレイに耐えられる「ゲーム体力」が大事。
ゲームのプレーを生業にする職業は爆発的に増えたし、それを目指す若者も増えている。
令和は「ゲームは1日10時間」の時代というわけだ。

ゲーマーの言葉遣いを綺麗にしてもリターンがない


ゲーマーの規範となるように言葉遣いはクリーンにせよと高橋名人は言った。
ゲーマーの間で自然に使われている「人権」や「戦犯」などのスラング、そういう強い言葉の使い方に気をつけろ、と。
その提言に対しネットでは「プロゲーマーは高橋名人を見習ってほしい」と称賛されていた。

だが、品行方正にしてもリターン(利益)がない。
結局ゲーム実況で求められるのはオーバーなリアクション、仲間内で通じるスラング、強いセンシティブな言葉だからだ。
視聴者が配信者に求めるのは感情の爆発、豊かな喜怒哀楽で、それらを表現するのに言葉は過激化する。
誇張した表現は刺激の強い調味料のようなもので、若い世代が多い配信の世界では調味料ドバドバの実況が好まれる。
「品行方正で言葉遣いが綺麗なゲーム配信」というのは、いわばヘルシーなジャンクフードのようなもの。
外野はそれが理想だとほめそやすが、現場の客はそれを口にしない。

補足すると、べつに差別発言が面白がられてるわけじゃない。
言葉遣いをクリーンにすることは、差別発言による炎上を防ぐという意味で、マイナスを出さないメリットはある。
だが人気配信者になるには、品行方正であってもダメだということ。

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