竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス 山種美術館

竹内栖鳳(たけうちせいほう)
班猫 1924年

この絵を観るのは今回が2回目でしたが、一度見たら忘れられない絵です。
竹内栖鳳はヨーロッパ渡航の後、西洋画のように対象を写実的にスケッチすることと、日本画で写意と言われる生命感や画家の精神を表現していくことを融合させることを目指しました。

それが極めて高いレベルで結実したのがこの絵です。写実的なだけでは美しくない。人の心を揺らすのは、画家の心が描かれている絵ではないかと思います。
背景のない画面に毛描きで緻密に描き込んだ猫を単独で配した構図は緊張感があり、猫の持つしなやかさと妖しさが伝わってきます。写実的でありながら生命の躍動感に溢れ、猫は今にも動き出しそうです。
特に、観る人を見つめる猫の青緑色の瞳には息を呑んでしまう迫力があります。この瞳の色の妖しさといったら…

この後の栖鳳は、少ない本数の線で表現する省筆に変化していきますが、生命の躍動感を捉えていることは変わりません。みずみずしい感性を持ち続けた画家だと思います。

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