インドネシアに住んだことで得たこと-インドネシア人の働き方
日本には古くから伝わる秘伝書から成る働き方がありますよね。若い頃には兵隊教育で角の立たない人材を作り、年功序列制度と終身雇用による縛り付けにより「モーレツ社員こそ正義」と言われていました。実際、テクノロジーの変化も少なく、製造業がメインだった時代はそれが正義でした。
実際に報酬もあった為、アメとムチが完璧でした。過去の日本はそういう背景があり、そのような働き方がありました。
もし、「おしゃれパンツにブランドのTシャツを来て、横文字めっちゃ使うけど、めっちゃ仕事は出来る奴」がその時代にいたらどうでしょう。多分、ずっと平社員ですよね。でも今なら認められます。日本も世界の情勢や業界の変化により働き方の多様性に対応していかなければなりません。
日本がそういった働き方の変化を起こしているように、インドネシアにもインドネシアの働き方があります。「産業、国民性、宗教、文化」何もかも違う国なので働き方も全然違います。
その働き方を理解せずに「俺が通用していた働き方でやれば良いんだよ。大丈夫だよ」と壮大な勘違いをしてマネジメントに当たると痛い目をみます。
要するに
・インドネシアではパワーマネジメントでは通用しません。
・「残業代無くてもOKです」こんなこと誰も言ってくれません。
・「酒飲んで...飲みニケーションしようや」ここはイスラム教が90%です。
明らかに昔は良かった日本の働き方は通用しませんし、
若い人が「これが今の日本の働き方。この感じ良いでしょ?」
と思ってきてもなかなか通用しません。
・「キャリアプラン考えてくれるのは嬉しいんですが、先のことですやん」
・「夢?インドネシアが良い国になることですね。誰かがやると思います」
・「分かりました^^」
という感じになり、あんまりそういった事を考えるのを好きな人は少ないです。(興味のあるエリート層はいます)
自分のやり方を強引に当てようとせず、相手のことを理解してそれに応じたマネジメントが必要です。今回はその参考になれば良いと思ってます。
⚫働き方
17時(終業時間)になれば帰宅
もはや海外だと欧米含めてこの働き方が普通ですね。まぁ普通に考えてみれば、17時までの契約であれば、17時になったら帰るのは普通のことですよね。
仕事は仕事です。自分の貴重な時間を仕事に割いてやっているくらいなものです。インドネシアにおいては少し背景は違いますが、
終業時間になると、30分以内には殆どの人がいなくなります。スケジュールの遅れや期限などは関係ありません。時間になったので帰るだけです。
日本人はポジション的にインドネシア人の進捗を管理するパターンが多いのですが、その進捗に遅れがあったりしても17時になればススゥーと帰っていきます。
「今日までにね」と念押しをしておいて17時に終わっていなくてもススゥーと帰っていきます。
従業員が21時でも22時でも働くことを前提にスケジュールを組むのは自分は仕事が出来ないと言っているのと同義です。より高度なマネジメントが求められます。
日本人がいない時はパーティー
もうパーリナイです。オッパーピーです。気を使う性格ではあるので、特に日本人のボスがいる時は静かにしています。ボスが用事で外に出かけたり、会議室などに行くとざわざわし始めます。静かにしていた分の反動なのかいつもよりうるさい気がします笑
オフィスにインドネシア人だけになるとまず仕事は進みません。ふとオフィスから出て行って3時間くらい帰ってこなかったりします。
優秀なインドネシア人がいて「その人に任せればOK」という話であれば別ですが、オフィスに日本人がいることは重要だと思います。
遅刻は当然。病欠も当然
インドネシアでは渋滞が問題になっており、朝はかなり渋滞します。また雨季があるので出社に対して「何時に家を出れば確実」というのが計算しづらいです。正直、日本人の自分から見ればそこそこの精度で計算はできるのですが、インドネシア人はあえてしません?なので始業時間にいるインドネシア人は1割〜2割程度です。
また、「今日行きたくねーな。月曜だし」「いやー、金曜だし3連休にしたいわ」「あー生理きた気がするよね」という理由で休みがちです。もしくは出社が遅かったりします。インドネシアだと病欠は欠勤にならないので「お腹が痛い」「家族の用事」が鉄板で来なかったりします。
病院の診断書があれば正式に休むことができます。病院とタッグを組んでやる人もいます。明らかにおかしいと思ったら調査をしましょう。
遅刻に関しては会社の住所とは違う県の人を採用しないことです。場所が離れれば離れるほど遅刻は増えますし、欠勤しがちです。
男はゲーム。女はインスタ
仕事してるとすぐに疲れちゃうんですよ。集中がすぐに切れるので、そうなると携帯を触り始めます。男はゲームをし、女はインスタを見たりし始めます。Youtube、家族、恋人電話も鉄板ですね。
ついでにこれに対しては悪いことは理解しています。隠れてやることが多く、権限のある日本人がオフィスに入って来たり、席を立ったりするとっスとしまいます。
これに関しては難しいですね。完全にNGというのはダメだと思います。ただ、キリがないところがあるので上手く制限することが大事だと思います。
ついでにこれに対して注意をする時に「じゃあタバコも同じじゃない?」「リラックスする時間は大事です」という論もあります。これに対して自分の中の答えとしては
人間が1日に判断できる数は約9,000です。寝ている時間が6時間として、起きている時間は18時間。そこから8時間働いています。そうなると働いている時間は4,000回判断機会が会社に与えられます。4,000回全てを会社が持つのは横暴なので3,000回は会社がもらうとします。1,000回は自由に使って良いとして、「Youtube、インスタ、ゲーム、タバコ」色々ありますが、ゲーム以外はそんなに判断を使いません。ただ、ゲームに関しては判断をめちゃめちゃします。30分もやれば800回くらいの判断はしていると思います。だって、ゲームした後で考えたくなくなりますよね。それくらい疲れてるんですよ。1時間も遊べばオーバーです。そういった流れからゲームを止めていけるのかなと思っています。
何が言いたかったというと、筋道を立てて話していかないとなかなか理解されないので数字やわかりやすい説明が必要です。
お金を懐に入れがち(テヘペロ)
テヘペロではないんですけどね。「経理部門、購買部門、産廃対応」この辺りはやりがちです。数字をちょろっと変えたり、外部の会社とタッグを組んで中抜きをしたりやりたい放題です。ここはちゃんとした人が殆どなのが前提で稀によくあるというやつで抜いちゃう人がいます。
日本だと考えづらいことですが、その当たり前を一回なくし、「あるんじゃないか?」と少し勘ぐり見ておくことは大事です。
Job Description(仕事内容)以外のことは嫌です
採用時に「あなたの仕事内容はこれです」というのを書き記し採用をするのですが、これ以外の仕事は好みません。それよりも楽な分には良いのですが、それ以上に辛いことを依頼すると「それは僕の仕事じゃないです」となります。まぁ当たり前と言えば当たり前ですがね。
ただ、これは人によるとこが強いですね。社長の人柄次第というところです。
ついでに職業差別なところがある国なので「掃除は嫌」などという人もいます。
日本人的には「少しくらいフレキシブルに動いてくれたって...」と思うかもしれませんが、その甘えは捨てましょう。確かに
日本人のことをよく理解し、フレキシブルに動くインドネシア人
います。ただ、そう簡単には見つかりません。いない前提で動きましょう。
管理職を本質的に理解できていない
それぞれ管理職に求められる能力に思うところがあるかもしれませんが、私が思うに、「指示と納期を提示でき、質問があれば答えられるのは当たり前。いかにやる気にさせ(出来ればキャリアの想像)、そこに向けて動かせていけるか。楽しく働ける空間を作り出せるか」で「自分が手を動かさないのも当たり前。自分の仕事をしてもらって、自分はさらにビジネス部門に関わっていく」って思っています。そういった視点で見ると、まだまだかなと思います。
・自分の仕事が取られるから教えない
・部下に嫌われたくないから評価はみんな一緒
・権力で踏ん反り返るのが気持ちいいいいい
・そもそも指示も納期も提示できない
・優秀そうな人はそもそも採用しない
...まぁこんな感じですかね。管理職としての能力に向いていない人が多いイメージ感です。
ただ、インドネシア人も「教えても出来ない人」と「知って、トライアンドエラーで出来る人」の後者は全然います。ただ、年功序列があるので年齢だけある仕事の出来ないインドネシア人に強く言うことが出来ません。そういう時は日本人が積極的にサポートに入りましょう。その素質をきちんと開花させてあげましょう。
怒るのであれば仕事しません!
現時点の内容を見てぶっちゃけ1回は感情的に怒ってしまいそうな方いませんか?その気持ちに任せて怒ってしまうと、言い訳に言い訳を重ねて悪くないことを表現します。(ロジカル性は皆無なので聞いていても意味は分かりません。)もしくは、喧嘩みたいになり仕事をしなくなります。インドネシア人に怒るのは何よりしてはいけないことだと思います。
仮にダメなことを正す際は「個人的に呼び出してゆっくりと分かるように話す」「チャットなどで個人宛に話す」など限定的な空間を作り1on1の状態にすることが大事です。
私たちは給与にはうるさいですよ〜
インドネシアは最低賃金が毎年8%程アップしています。過去には20%~30%も。最低賃金はワーカーの人がもらうレベルですが、その層の給与が上がれば、もっと高くもらっている人にとって笑える話ではありません。「俺たちもあげなよ」という流れです。
日本人としてもスキルがきちんと伴えば上げることも良いと思っている人が多いのですが、大体が上がっていないので「なぜ上げなければならないんだ...」と思い給与の見直し時期にはかなり悩まれている人が多いです。
ただ、これはチャンスとも取れます。良いパフォーマンスをした人にはきちんと対価を払い、そうでない人は0%アップで良いです。
どうでしょうか。インドネシアでビジネスが成功しない会社が多いのはこういった理由があったりします。組織づくりが非常に難しいです。他の国で成果を上げている人もこの国では苦労することが多いです。
ただ、1800を超える日系企業の中でも成功している企業はあります。そういった企業の日本人はよくインドネシア人のことを理解しています。その上で先述のような事を未然に防がれています。
では、なぜそういったことが起こるのか簡単にご説明していきます。
●なぜそうなのか
「何よりも家族第一」
これが1番大きいように思えます。家族と共に過ごす時間を1番と考えています。なので一緒に過ごす時間を大切にしています。
良いことですよね。私はインドネシアの価値観の中でもこの考え方は素晴らしいと思っています。
「基本的には楽していたい」
熱帯地域で何もしなくても食事に困ることのない状態で1000年以上を暮らしていました。いきなり「労働だ!資本主義だからな!」と働くことの大事さを説いてもそれは理解できません。今でも食料は沢山ありますからね。
また、家族から怒られて育たない為、ゆったりしています。なのでチャンスがあればのんびりすることが大事です。
「その時間を過ごしたからお金くれ」
間違った伝わりがあったら怖いのですが、8時間の労働で休憩も上手く挟みながら、仕事をしていればOKだと思っています。そうではなく、仕事をしてなくても「会社にいたんだからお金」という感じがします。
この考えが強いので「休憩やサボり、遅刻は全然しますが給与はちゃんとよこせ」というところにもつながっているように思えます。
「おいおい。積みゲーじゃねぇか」と思われると思います。実際、積みゲーになっている会社も多いです。ただ、優秀なインドネシア人を育成し日本人以上に働く人もいます。インドネシア人、本人の資質もありますが、それをしっかりと活かす日本人の力もあります。どういったところを意識してやられているのか見ていきましょう。
●インドネシアで成功するには
[採用に力を入れている]
まずはこれですね。やはり資質というものはあります。日本人でもそうですが、年齢を重ねると働き方が固まっていて変えるのに力がいります。なのでできる限り若くて優秀な大学を出た学生です。もしくは大手日系大企業からの転職者です。高い仕事レベルでやってきて日本人をよく分かっているのでフィットしやすいです。
[インドネシア人を大事にしている]
インドネシア人は感情で動くかを大事にします。
いかにロジカルに全てを説いたとしても「愛想のない日本人」「怒る日本人」「プライベートがダメな日本人」...そんな人の意見はなかなか聞き入れられません。まずは個人個人を大切にする気持ちと行動が大事です。
東南アジアだと待遇が凄い事になります。また、日本の仕事観は全然凄いと思いませんが、それでもインドネシア人よりは仕事ができます。なので「自分が凄い」と勘違いしがちです。そして、なかなかインドネシア人を大切にできない人がいます。注意しましょうね。
[組織が流動的になることを前提に考えている]
やはり多いのは「インドネシア人に長く働いてほしい」という日本人の意見です。軸に成るメンバーは長い人でないと上手くいきませんが、そうでないメンバーは辞めるものだと思ってください。こちらがどれだけ手厚くしても辞めます。
その上で組織づくりを考えることです。「属人的な組織作りにせず、得た情報はシェアされる流れがあり、クライアントとの付き合いは定量的な価値により関係がある。誰がジョインしても問題なく運営できる」こういったことを意識して作っていく必要があります。
[人間性を高め、承認欲求を刺激する]
うざい人に褒められても何も思いません。「都合の良い時だけ言いやがって」というのが落ちです。尊敬される人間性を持ち、その上で承認欲求を刺激する動きが出来ている人になるべきです。人間性は価値観がベースになります。仕事の時だけいい感じに繕う努力をしても結構無駄になります。インドネシア人はコミュニティ社会で生きているのでそういったところを見抜く力は高いです。
まずはシンプルに考えれば大丈夫です。
「朝は笑顔で挨拶。細かい頑張りをきちんと褒める。相手の意見をしっかり聞く」こういった小さいことから始めれば良いんです。
[大報酬と小報酬]
年間報酬、月間報酬、何かあれば突発的な報酬
この国では鞭は捨ててください。アメとサンバルを沢山持ち、それを適度なタイミングで配りましょう。
これは行き当たりばったりにやると整合性がすぐに取れなくなるので、結構練りこんでから実施しましょう。
という事で、インドネシアの働き方やそれに付随する話を書いてみました。
日本の感じでやってしまうと失敗する国の1つです。こちら参考にしてもらいつつ、活かしてもらえれば幸いです。
でわわ。