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書評 廃炉とは何か もう一つの核廃絶に向けて 電気使う人必読!!!!
五十路のおじさん、ばっどです。
廃炉とは何か もう一つの核廃絶に向けて
尾松亮
たぶん読んだきっかけは新聞書評だろう。
まず冒頭からションベンちびる内容で始まる。
東電による福島第一原発の廃炉は2011年起点で40年、2051年に設定されているはずだが、そもそも廃炉の定義要件が決まってないのである。
なんじゃそりゃ!!
かてて加えて、その8年後に廃炉が決定した第二原発の廃炉予定は「44年後」なんだという。
第一より全然作業が楽なはずの第二がである。
なんじゃそりゃぁ!!!
地震がなくても、もともと発電の末に出る核廃棄物の最終処分方法が決まっていないのは知っていたので、ムラムラいやモヤモヤしていたのだが、上記事実にばっどは驚愕せざるを得なんだのである。
とにかく原子力行政のひどさが伝わってくる。
原発事故関連で「直ちに人体に悪影響を及ぼすものではない」という定型句があるが、言い換えれば「ある程度長期的に見たらわからない」である。
なぜわからないの一言を正直に言えないのかという事情はわかる。でも。
この本を読み進めれば、スリーマイルでは核廃棄物の処理が極めてロジカルに行われたことや、チェルノブイリは年限を決めず、後始末を愚直にやり遂げる方針が決められていることなど、海外では「それなりにキチンと」始末されていることが紹介されている。
普通に世の報道を見ていても、アメリカでは事故発生時の避難計画がロジカルに成立せず、計画された原発の運用が断念された例があることくらいは耳に入ってくる。
とにかく日本の原子力行政は強引で、やるありきでそのプロセスがいい加減であることはフツーのニュースでも十分伝わってくるのであるが、この本を読んでさらに絶望感を覚えざるを得ないのである。
「影響はわからない、でも電気が足りんから発電所は作りたい(動かしたい)、何かあったら福島みたいに二度と住めなくなるかもしれません、そのうえで検討お願いしますm(__)m」
そう言ってくれればまだ、とは思うのだが。
使用済み核燃料は2019年時点で1万8千トン、すでに貯蔵容量の75%に達している。こんなことくらい知識なくてもググったら瞬時にわかるのである。
しかもその貯蔵容量は最終処分ではないのである。
この本については、まじ識字できる全国民に読んで欲しい。
岩波ブックレットから発行されており、薄い本なんで、1時間ほどでよめちゃうはず。