人件費1万円の議事録
みなさんは議事録を書いたことはありますか?
IT業界では以前よりも議事録を書くことが少なくなっている気がします。
テレワークが主流となってきているので、リモート会議の録画を議事録の代わりとしているところも多い印象です。
各チームからの報告会議も、OneNoteなどの共同編集できるファイルに、各々が事前に報告内容を追記するので、あらためて議事をとる必要がないのですよね。
ただ、転職前の会社ではとても非効率な議事録作成をしていました。
今回は私の受けたパワハラ話をしてみたいと思います。
転職前の会社は部署ごとに雰囲気が決まっていました。
アットホームな部署、納期に厳しい部署、好き嫌いが激しい部署など、そこの部長次第で社員の雰囲気が変わるという会社でした。
そして、私が配属した部署、それは。
周りの会社から「軍隊」と呼ばれる部署
新人研修が終わってから、配属する部署が発表されるのですが、この軍隊と呼ばれる部署には当然誰も行きたがりません。
噂だけで新人にここまで恐怖心を与える部署は本当にやばそうですよね。
で、晴れて私がその部署に選ばれました。
前世、なにか悪いことをしたのでしょうかね。
発表された瞬間、他の同期達は全員「あ〜御愁傷様。」という顔をしていたのを今でも覚えています。
百聞は一見にしかず。
軍隊かどうかは配属されてから見定めることにします。
本当でした
もう勤務初日から察します。
誰も雑談をしないのです。
カタカタカタ…
常にキーボードの音だけが響いています。
ちなみに私が配属する一ヶ月前に軍曹が辞めていたそうで、後に反抗勢力からこんな武勇伝を教えてもらいました。
SE10箇条を印刷し、ディスプレイの下に飾っている
軍曹に逆らう者については仲間はずれにしようと嫌がらせをする
お客様が遅刻した打ち合わせで「私はあなたに遅刻される存在なのが悔しい」と打ち合わせ前から泣いていた
どんな人間やねん
当然、軍曹が辞めたとしても、根付いた文化は消えません。
配属されて数ヶ月経過した頃、部長が気分でこんなことを言い始めます。
「ここの現場も人数が多くなったし、リーダー会議を毎週金曜にやろう。」
へぇー。リーダー以外は関係なさそう。
そう思っていました
「で、議事録は新人な。」
え?
後に先輩にも言われましたが、新人がリーダー会に参加する必要はないのです。
さらに、最も知りたい人の異動などの情報は新人がいるから伏せられることになりました。
このリーダー会議になんの意味があるのだろうか…
ここから1年半年に渡り、土日に議事録を書く生活がはじまります。
というのも、リーダー会議にいきなり新人が出て内容を把握できるわけがないのです。
また、ノートPCは借用されず、ノートに手書きで週報の内容を書き留め、後日Excelに書き起こさなければわけいけないのです。
当たり前のことですが、人間は日にちが経つと記憶が薄れます。
金曜日にリーダー会議をやるということは、翌営業日は月曜になってしまうのです。
また、このリーダー会議の開催時間は定時後です。
そして、部長の方針として、
「議事録は早く展開しないといけないから月曜に出せ」
と告げられました。
慣れない仕事もこなしながら、隙間時間など存在しなかった私に残されたのは土日の議事録作成でした。
土日に議事録のベースが完成したら、理解できなかった箇所にマークしておきます。
そして、月曜に発言者に質問をしにいくのです。
書き終わったらクロスチェックを先輩社員にお願いしにいきます。
指摘された内容を修正し、展開します。
しかし、部長は気まぐれなのでさまざまな嫌がらせを仕掛けてきます。
「てめえら何やってんだ?内容確認してんのか?」と、議事録にショッキングピンクの吹き出しで、48のフォントサイズで書かれる。
「相手の考えていることも議事録に書け。」と、議事録は発言された内容だけを書くにも関わらず、発言の背景まで含めて書くように指示される。
後者に関しては、クロスチェックを担当してくれた先輩社員からも「さすがにそれは意味わかんないね。」と擁護されました。
ちなみに、この先輩社員は後にこの現場から異動することになりました。
理由は聞いたことはないのですが、ご本人から「異動願いの申請があるんだよ〜」と教えてもらいましたので、多分軍隊からの異動で利用されたことがあるのだと察しました。
気づいたら一年半年間、土日に議事録を書き、年次が上がると今度はチェック担当に変わり、社会人3年目を迎えていました。
しかし、この議事録ですが、突如終わりを迎えることになります。
社内イベントのフットサルで頻繁に会っていた別の部署の部長にこの件を軽い気持ちで話したところ、なんと動いてくれたのです。
リーダー会議に出席してくれて、
「これは何の意味があるの?誰が議事録を見ているの?誰も見てないなら作る意味なんてないよね?」
と、疑問を問いかけてくれて、鶴の一声で議事録は書かなくなったのです。
安堵の気持ちと共に、虚無感に襲われました。
本当に無駄な時間だった
また別の機会に、転職前の会社で起きた数々の事件を書いてみたいと思います。