おに、こわくないよ
「おとーさん、えほんかりてきてくれる」
朝、あたしが家を出たあと、おはなちゃんが突然嫁さまにそう言ったらしい
あたしは今日、図書館で絵本を借りようと思ってたのは事実
なぜ、おはなちゃんはそれを知っているのだろうか?
嫁さま曰く、
「返す絵本をバックに詰め込むのを見てたんじゃない?」
それはない
昨日の夜、おはなちゃんが寝たあとにバックに詰め込んで、あらかじめ夜のうちに車に積んでいたのだから
嫁さま曰く、
「テーブルに絵本が置いてなかったからじゃない?」
借りた絵本はテーブルにどっさり積んでいる。常に20冊以上は置いてある
それがなくなってたから、
「おとーさん、えほんかりてきてくれる」
と思ってそう言ったのだろうか?
もしそうだとしたら、すごくなくなくなくなくなくなくないですか!?
ある状況を見て「こうなるだろう」と類推する力が培われている
しかも、
「かってくる」でもなく「もらってくる」でもなくちゃんと「かりてくる」という適切な言葉を使っている
「かりる」という意味まではよくわかってはいないだろうけど(後日考察案件)何度か一緒に図書館に行っているから
えほん=かりる(という言葉を使ってゲットするもの)
となっているのかもしれない
いやはやそれにしてもすごい、びっくり、この年齢でこの類推力
将来は江戸川コナンかな?
あと4年後、意外と早い!!
嫁さま曰く、
「お父さんに何の絵本を借りてきてほしいの?」
「えとね、おにのえほん。おに、こわくないよ」
とのこと。
鬼はこわくないらしい
それはこういうことだろうか?
桃太郎や一寸法師などに代表されるように、鬼は最終的にはやっつけられるから、恐るるにたりぬという意味で「こわくない」と言っているのだろうか?
それとも鬼は本当は優しいんだよという意味での「こわくない」だろうか?
鬼と同じように絵本の中では悪者扱いされてばっかりのオオカミに対しても、おはなちゃんは好意的に受け止めている節がある
「おくりおおかみ」といえば悪い意味で使われる言葉になっているが、本来はオオカミの恩返しの話である、無骨でちょっとずれているが、オオカミが仁義を通す筋の通ったいいお話である
一般的に一方的に悪い悪いと言われている鬼やオオカミは、ほんとうはこわくない、やさしいのだということをおはなちゃんは知っているのかもしれない
だからそれについての絵本を借りてきてほしいのだなと、あたしはそう忖度して図書館で借りてこようとした
しかしやさしい鬼、こわくない鬼の絵本なんてあるのだろうか?
おとうさんは探しました見つかりました
やさしい鬼、いました
こわくない鬼、いました
いつもは昔話コーナーでしか絵本を借りてないお父さんですが、今回は特別に、それ以外のコーナーへも足を運んで、見つけてきました
難航しました
タイトルから「お」の棚で探せば「おに」から始まる絵本が見つけやすいだろうとしたのですが、そこに並んでいる絵本はたいていこわい鬼、恐れられている鬼、いたずらな鬼でした
それでもお父さん諦めずに探しました
いました、いたんです、たしかに、やさしい鬼
実はお父さん、以前読んだことがありました
どうしてこの絵本が真っ先に思い浮かばなかったんだろう
おはなちゃん、お父さんはあなたの望む、こわくない鬼、知ってました
それを今、君に読み聞かせて、会わせてあげたいと思います
それではご対面していただきましょう!
聞いてください、
ないたあかおに