78rpmはともだち #16 ~淡谷のり子『別れのブルース』~
1948年にLPが発売されるまでの音楽鑑賞ソフト(音盤)であった78rpmについて綴るシリーズ。
前回、#15でブラジルのディーヴァ、エルシー・ヒューストンのR18レベルの歌をご紹介した。
「それに連なって」というわけでもないが、今回は日本で「ブルースの女王」と呼ばれた歌い手、淡谷のり子、最大のヒット曲を。
淡谷のり子(1907年8月12日:青森市 - 1999年9月22日:東京都大田区)について改めて綴ることはないだろう。
東洋音楽学校(現・東京音楽大学)声楽科で学び、「十年に一度のソプラノ」とも呼ばれた淡谷。
そんな彼女が「アルトでも無理」と言われる低音を要求される、服部良一作曲のある曲に挑むにあたって、夜通し吸ったこともないタバコを吸い、レコーディングに臨んだ、というエピソードは有名だ。
それが1937年にリリースされた彼女の大ヒット曲『別れのブルース』である。
服部がその才能を高く評価していた作詞家、藤浦洸が書いたその濃厚な歌詞、服部が研究を重ねたブルースに影響を受けた曲調(しかし、実際にはブルース・コードは用いられていない)、そして淡谷のプロ根性が混然一体となって、この名曲は生まれた。
世界に誇れる名曲、名唱の【ターンテーブル動画】を。