ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘルス シューマン『くるみの木』(1951)
ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(Victoria de los Ángeles 1923年11月1日 - 2005年1月15日)。20世紀のスペインを代表するディーヴァ。
第2次世界大戦後、オペラ歌手としてと飛ぶ鳥を落とす勢い、特にイタリア・フランス系のオペラにおいて幅広いレパートリーを持ち、世界の名だたるオペラハウスに出演して脚光を浴びてきたデ・ロス・アンヘルス。
1961年にはバイロイト祝祭に出演し、W.サヴァリッシュの下『タンホイザー』のエリーザベトを歌っているが、その頃から活動の主体がオペラからコンサートに移っていった。
稀代の名伴奏ピアニスト、ジェラルド・ムーアと数多く共演し、特に1964年、ロンドン・ロイヤル・フェスティバル・ホールで実況録音された『イン・コンサート』は誉れ高い。
今回HMV-102で再生したのは、既に時代はSPレコードからLPレコードに移りつつあった1951年7月に、そのジェラルド・ムーアと録音したシューマン『くるみの木』(歌曲集『ミルテの花』)。
このシューマンを代表するリートを、二人は通常よりもゆっくりとしたテンポで、しかしもたれることなく軽やかに歌い、演奏していく。
ドイツ系の歌手の誠実さ、朴訥さとは一味違う、明るい抒情が印象的。
その演奏時間故、通常10インチ盤で収まるこの曲が12インチ盤に収録されている(ちなみにカップリングはブラームス『永遠の愛』)。
一作曲家のドイツ・リート集をまとめて録音するようなタイプではなかったデ・ロス・アンヘルヘルスの貴重なドイツ・リートを。
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