78rpmはともだち #21~ロッテ・レーマン シューマン『くるみの木』~
ロッテ・レーマン
「20世紀を代表するソプラノを一人挙げよ」と言われたら、貴方ならどの名前を口にするだろうか?
ネリー・メルバ、キルステン・フラグスタート、マリア・カラス、エリザベート・シュヴァルツコプ・・・。
もちろん、人それぞれだし、一人に決めることに何の意味があるのか?と思うのも当然だ。
しかし、ゲームだと思って、一人の名前を挙げるならば、私は「それはロッテ・レーマン」と口にすることになるだろう。
ロッテ・レーマン(Lotte Lehmann, 1888年2月27日 - 1976年8月26日)。
主にドイツ・オーストリア系のオペラではあったが、数多くのオペラのプリマドンナを演じ、リートの分野でも幅広いレパートリーを持ち、その生涯にレコーディングした曲は500曲以上と言われている。
LPやCD時代ならともかく78rpm時代の話だ。
シューマン『くるみの木』
今回はそんな中からロベルト・シューマンの名曲『くるみの木』。
1932年にリリースされた78rpm。
この曲は、26曲から成る連作歌曲集『ミルテの花』に収められたもの。
1840年、「リートの年」に発表された傑作歌曲集のひとつで、その年結婚することになる妻クララに捧げられた。
詞はユリウス・モーゼン。
青々と葉を茂らせるくるみの木に咲いた対の花を、愛する者同士に喩えたロマンティックな曲。クララとの愛が深まり結婚するまさにその時期のシューマンの気持ちを表したような曲。
「緑」「風」「香」・・・。
R.シュトラウスの『バラの騎士』の元帥婦人を最も得意としたレーマンの、品格と心根の優しさが伝わる歌声・・・。
同じくシューマンの『女の愛と生涯と』から『彼にあって以来』も。