見出し画像

エリーザベト・シュヴァルツコップ シューマン『ことづて』(1951)

エリーザベト・シュヴァルツコップ(Elisabeth Schwarzkopf, 1915年12月9日 - 2006年8月3日)が1951年11月29日にアビーロード第一スタジオで録音したシューマンの『ことづて』Op.77-5。ピアノはジェラルド・ムーア。

録音年からもお分かりのようにこれはLP用に録音されたセッションのうちの1曲で、『A LIEDER RECITAL』というタイトルのLP(33CX1044)に収録されている。

「イタリア系レパートリーならM.カラス、ドイツ・オーストリア系ならシュヴァルツコップ」とステレオタイプな言い様をされることが多い。
がしかし、シュヴァルツコップが時代を代表する(頂点に立った)ドイツ・オーストリア系ソプラノであることは確かだが、その歌のスタイルがドイツ・オーストリア系のそれを代表するものとはちょっと思えない。

シュヴァルツコップの歌はオペラでもリートでも、精緻に、頭脳的に考えられた歌い方が徹底されており、それが歌の核心をついているのは事実だが、その一方で自然な表情や気持ちの吐露というものとは距離を置いたようなものだ。

その点でお互いに認め合っていたというD.フィッシャ=ディースカウに通じるものがある。

そして、カラヤンに気に入られ、彼がEMIのプロデューサーであるウォルター・レッグに彼女を紹介、レッグがその才能に惚れ込んで仕事上のパートナー、そしてプライヴェートにおいてもパートナーとなったシュヴァルツコップ。
この事実は完璧主義者であるカラヤンとレッグの音楽的志向と、シュヴァルツコップのそれがほぼ一致していた、という事実を明らかにしている。

HMV-102で再生。


いいなと思ったら応援しよう!