クレデンザ1926×78rpmの邂逅 #69~ジェルメーヌ・マルティネッリ シューマン『女の愛と生涯』(フランス語歌唱・1935)
昨日、シャルル・パンゼラ と アルフレッド・コルトーによるシューマンの『詩人の恋』の78rpmをご紹介した。
偶然だが『詩人の恋』と同じく、「シューマン 歌の年」である1840年に作曲されたやはり傑作の連作歌曲集『女の愛と生涯』の78rpmでパンゼラ盤と同年、1935年に録音された愛すべき78rpmが手元にあるので、今回はそちらを。
『女の愛と生涯』
この「note」ではこれまでもいくつかの『女の愛と生涯』の78rpmを紹介してきた。
一人の女性が将来の伴侶となる男性と出会い、結婚し子供を生み育て、夫と死別するまでを描いた8曲。詞はアーデルベルト・フォン・シャミッソーが1830に書いたもの。
ソプラノ、メゾ、アルト(コントラルト)に限らず、多くの女性歌手が歌い、録音を残している。全曲をご紹介出来ていないが、もちろん、ロッテ・レーマンの絶対的音盤(小型オーケストラ伴奏による78rpmとブルーノ・ワルターのピアノによるLPの2種)も・・・。
ジェルメーヌ・マルティネッリ
そんな中、今回ご紹介するのはドイツ語ではなく、フランス語訳で歌われた『女の愛と生涯』。歌うはジェルメーヌ・マルティネッリ(Germaine Martinelli, 1887年9月30日 - 1964年4月8日)。
マルティネッリは1908年にデビュー。オペラ歌手として活躍し、78rpmの録音でもグノー、マスネー、ヴェルディ、ワーグナーなどが残っているが、むしろ宗教曲や歌曲を得意とし、デュパルク、フォーレ、ドビュッシー、ベルリオーズといったフランスの作曲家の作品に加え、シューベルト、そしてシューマンといったドイツ・リートも録音している。
因みに78rpmの録音枚数は40枚弱。
資料によって、ソプラノともメゾ・ソプラノとも表記されているが、それもそのはずでマルティネッリの声質は様々な音の成分を持っていて、一言で言い表すのが難しい。。
しかも、この『女の愛と生涯』はフランス語歌唱。ドイツ語の明確なフォームを持つような語感と異なって、エッジが良い意味で甘くなるフランス語ならではの柔らかさがあって、これはこれで違和感なく心に染みわたるものがある。そして程よい華やぎがあるのもいい。
【ターンテーブル動画】
オリジナルはフランス・コロムビアの3枚組だが、手元にあるのは2曲を1面に収めた2枚組の日本コロムビア盤。
ピアノはドビュッシーやラヴェルのピアノ曲のオーソリティであったジャン・ドワイアン
この78rpmを見つけた時、思わず心の中でガッツポーズしたものだ。
クレデンザ蓄音機に竹針を装着して再生。