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バッハ関連まとめ

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バッハ関連の記事についてまとめています。
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#合唱

【Portrait of BACH】三分でわかるバッハの素顔【祈り、歌え】

 クラシック音楽史上、数多の名曲で知られながら最も誤解されている作曲家と言えば、音楽の父ことバッハ(1685-1750)だろう。    学校教育で習うバッハ像はもとより、インヴェンションや平均律を通じて体感するバッハの音楽は、一種独特のものがある。    バッハの素顔とは?    珠玉のショートピースは無数にある。  これぞというものを三つだけピックアップしてみた。 祈るバッハ  セロ弾きのバッハは、踊りながら、祈る。  ここでは、通常とは異なる時間が流れている。  

G線上のアリア論-BACH音楽の普遍性(前編)パレストリーナからバッハへ

 バッハの代表作である『G線上のアリア』はクラシックというジャンルを超えて、今なお多くの音楽家にインスピレーションを与え続けている。  『G線上のアリア』の魅力はどこにあるのか? 楽曲分析や歴史的背景を踏まえながら、近年の動向や21世紀の最新アレンジも含めて、この曲をできるだけ多角的に見ていきたい。  前編となる今回は《パレストリーナからバッハへ》と題して、主に分析や歴史をテーマに『G線上のアリア』の魅力を再検討する。 1.メロディ×4の旋律美 『G線上のアリア』の魅力は

G線上のアリア論-BACH音楽の普遍性(後編)アレンジの魔力と逸脱

 バッハの超有名曲をできる限り多角的に見ていく本稿について、前回は《パレストリーナからバッハへ》と題して、メロディや楽節構造の分析を通じて曲の魅力(旋律美と構造美)を再検討した。また、中世ルネサンスバロックに共通する作曲原理(旋律の重層化)を俯瞰し、バッハが過去の作曲家(特にパレストリーナ)から多くを学んでいたことについて指摘した。  前編はこちら。  後編となる今回は《アレンジの魔力と逸脱》と題して、『G線上のアリア』の様々な演奏を紹介する。  先入観を持たず、まずは聞

BACH音楽の精髄としてのコラール-ライプニッツとオルガニスト・バッハ

 16世紀から17世紀にかけて、ドイツ・ルター派系の職業音楽家の重要な仕事は「コラール系楽曲の新作アレンジの提供」であった。バッハにおいても事情は異ならない。むしろ彼の場合、就職先の都合上、仕事のほとんどがコラール系楽曲の新作アレンジであったとも言える。 1.コラールとは? ドイツのルター派におけるコラールは、教会に集う会衆のための教会歌である。歌詞は母語であるドイツ語で書かれてあり、旋律は平易で歌いやすい。  当時のカトリックは、そうではなかった。讃美歌(ラテン語)は特権