The Beatles ~Get Back ルーフトップコンサート~を観て
先日、The Beatles ~Get Back ルーフトップコンサート~を観てきた。
日本では5日間の限定公開(しかも一日一上映!)で、焦って押さえて劇場に駆け込みました。どうやらアメリカやカナダでは一日のみの限定上映だったそう。
1969年1月30日、Get Back(復活)という言葉を掲げて、ロンドンのルーフトップコンサートを行ったThe Beatlesの4人。
しかもゲリラライブ。露出が減り人気も右肩下がりだったにもかかわらず、地上を歩く人たちは足を止めて、「あれビートルズでしょ?」と嬉しそうにインタビューに応えるシーンも残されていました。
中には「騒音だ」とご立腹な年配の方がいたり、警官が出動する事態になったりと、とてもリアルでした。
本当に貴重なシーンで、50年前とは思えないほど映像が綺麗だった。
Get BackやDon't Let Me Down、I've Got a Feelingを演奏。
LPに収録するものなので、同じ曲が繰り返し何度か歌われてました。
個人的にはポールよりもレノンの声がすきで、特徴的だし魅力的。
あ、でもジョージがリードボーカルを務めている曲も大すきです、Do You Want to Know a SecretやI'm Happy Just to Dance with Youなど、ファンでないとなかなか知らないかもしれませんが、ラブソングを甘ったるく歌えるのも素敵ですよね~
そして見るからに寒そう、1月ですしね。ましてやルーフトップ。ポールも「手がかじかんでギターが弾けない」みたいなことを言っていました。
みんなの衣装(きっと自前だろうけど)、すごくよかったです。レノンのファーコートもよかったが、リンゴのパンクなレインコートみたいな上着も目を惹きました。しかし、コートからちらりと見える真っ赤なシャツに鮮やかグリーンのフレアパンツを合わせてるジョージに、わたしはおしゃれ大賞をあげたい。ジョージは年を重ねるごとに本当に渋くなってゆく(いった)よネ。
街を歩く人々の服装も、50年前にもかかわらず、いま都会を歩いてても全然違和感ないなあといった感じ。それだけ今の日本のファッションは多様化しているということでしょうか。
しばらくしていると、警官の到着でルーフトップでのコンサートが中止されます。関係者が映画の撮影だのなんだの許してほしいと乞いますが、騒音による苦情が何件も入っており、これ以上続けると逮捕者が出るとのことで、泣く泣く中止となります。
室内へ移動し、屋上で録った曲を聴き返すメンバー(みんな奥さんを連れてきていたので、部屋はすし詰め状態。言葉ひとつ発しないオノヨーコは本物の魔女みたいだった)。
すごく仲良くて、当時のビートルズを思い出させてくれるんですよ(わたしはまだまだ生まれてませんが…)でもこのとき、すでにメンバー不仲でほとんど解散みたいな状況だったんですよね。だから、こうした場面でもう一度みんなで演奏ができて、それはまるで奇跡みたいな出来事だった、ってメディアに書いていたくらい。
最後はポールがピアノを弾き、レノンは床に座りギターを弾く。Let It BeやThe Long and Winding Roadなどの情緒的な曲もこの際に演奏されます。彼らの終わりを見ているようで、涙が出そうになった。
わたしは昔からレノンがすきで、小学生のときにMichelleを聴き、一気にファンになった。あのとき、父の部屋からCDをくすねて本当によかった。
ビートルズという存在は知っていたけど、どんな曲を歌っているかいまいちピンとこなかった10歳そこらの少女が、いまや彼らの聖地巡りに飛ぶ20代になってしまった。彼らは罪な男なのだ。
レノンがもうこの世にいないと知ったとき、すごくさみしかった。次いで、ジョージも亡くなった。竹内まりやの「マージービートで唄わせて」を聴くと、この曲ってわたしだ、と思わせてくれる。
当時を思い出し今に至るまでを書いてしまうと、なんだか明日も明後日も続きそうなので、拙い文章だけど、残りの映画の感想をざっと。
冒頭のプロローグは、古くも爽快でかなりよかった。
ビートルズ結成~ルーフトップコンサート1969年までの時系列を、ビートルズの曲をバックに一気におさらい。レノンのキリスト発言やら、ブライアン・サミュエル・エプスタインの死についてもさらっと言及があります。
メインはもちろん言うまでもなく。上記のルーフトップコンサート及び室内でのレコーディングついてです。
エンドロール自体も室内レコーディングにかぶっていて、どうやらこの映画の製作にご存命のポール、リンゴ、オノヨーコやジョージの奥様も携わっているみたいですね。仲良くやってくれてるのならいいのだけど・・・
贔屓目はあるかもしれませんが、作品自体とにかくよかったです。もう一度観たい。館内でヘドバンするようにノリノリなお客さんもいた。DVD発売希望です。
※満席スクリーン続につき、2021/2/25にアンコール追加上映決定とのこと。
~おまけ~
数年前にルーフトップコンサートが行われたロンドンのアップル社に行ってきました。
観光客のひとりもおらず、映画のように人通りも閑散としており、さみしい印象でした。実際、たどり着くまでにかなり迷い(アップル社自体特徴がなく、観光地であれば人もいて見つけやすい)、「嗚呼、、ビートルズに熱狂的だったあのファンの子たちももういないのかな」と思わせるほどでした。
けれど、リヴァプールでのマジカルミステリーツアーには参加客がそこそこいましたし、キャヴァーンクラブもその前にあるレノンの銅像も健在で、うれしかったです。あちこちの建物内にはビートルズのイラストが描かれてあったり。港を向く4人の像を見ると、なんだか泣けてきました。
その他、A HARD DAY’S NIGHTのロケ地のメリルボーン駅は賑わっていたし、アビーロードにも彼らのジャケット写真を真似て撮影する観光客はいました。(※ただし、ジャケット撮影当時より交通量が確実に多くなっているのであんないい写真は撮れません)
New Yorkへ行った際は、ダコタハウスの周りには観光客はいませんでした。
観光地というより、ただそこにどでかいマンションが存在しているといった感じでした。当たり前といったら当たり前かもしれんが・・
ストロベリー・フィールズには、ギター片手にビートルズの曲を演奏している男性がいたりとかなりの賑わい。また、タイムズスクエアのHard Rock Cafe店内は、当時彼らが着用していたスーツやギターが中央に大きく展示されていて、いかにも主役といった感じでした。レノンが見たら、皮肉まじりで嬉しそうに何を言うんだろうな~