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【レポ】文学フリマ京都8 京都市動物園を添えて~

2024年1月14日

新幹線に乗っている。目指すは、京都岡崎、みやこめっせ。文学フリマ京都の会場である。

京都駅(新幹線)→東福寺(JR奈良線)→三条(京阪)→東山(東西線)

朝の移動がつらくて、ぐったりしながら操り人形のように手足を動かして、なんとか電車を乗り継いだ。予定に動かされるこの感じ、つらいけど、大きくて強い流れに加わっている風で、気分がよかったりもする。この感じは、あれだ。私にとっては高校生以来だ。この日は共通一次試験の当日で、受験生たちが駅に集まっていた。手足の苦しさと引き換えに、「受験」というメインストリームに身を委ねる安心感を得ていた。懐かしいね。

地下鉄東西線 東山駅を出ると、冬の快晴に迎えられた。この辺はちょっとした景色も風情があってよい。朝の日に当たる川沿いの枝垂れ柳。風情。風情すぎてむかむかしてくる。

DEAD END
非日常を演出する大鳥居が見える
お茶屋風のセブンイレブン。これは本当に演出。

数分歩くと、岡崎に着いた。この辺りには、平安神宮、岡崎公園、美術館、少し歩けば南禅寺など、ちょっと見れるところがたくさんある。

しかし、入場まで思ったほど時間がない。いろいろ見ようと思っていたが、一つに絞らざるをえない。せっかくの京都だ。文化的な空間で過ごすだけでも、良い体験になるだろう。たとえば、美しい日本庭園を擁する名勝、無鄰菴。それから、京都市動物園。住んでいたときに一度行ったことがある。どちらに行くか、選ばなくてはならない。

道が臭い。





朝の京都市動物園である。一般入場750円。客入りは穏やかだが、動物の鳴き声と子供たちの歓声で賑やかな印象を受けた。気持ちの良いものである。

数年前に一度だけ来たことがあるが、配置など、案外記憶に残っているものだ。たしか入ってすぐ、左手にトラが迎えてくれた。記憶の通り、ジャガーとトラが檻の向こうに控えていた。大型の獣は、やはり近くで見ると迫力がある。じっくりと観察したかったが、子供たちが寄ってきたので場所を譲り、退散した。でっかいトラがいたが、撮影できなかった。成人男性は身の程をわきまえて隠密に行動しなくてはならない。

んー・・・?
ここは―—
なに?
橋?
橋・・・?

楽しげなエリアもある。

少し進むと、京都の森というエリアにたどり着いた。迷い込んだという方が正しいかもしれない。クマのマークがある。ここ数年で、クマへの畏怖が高まっているように思う。クマの悪魔がいたら、まあまあ強い(チェンソーマンの話)。とにかく、クマに気を付けつつ、京都の森を進む。

京都の森を進む

地味な鳥が泳いでいた。

キツネ
タヌキ

ツキノワグマがいる。しかし、私が訪れるのと入れ違いで、奥に引っ込んでしまった。クマにも恐れられる私、偉くなったものだ。だけど寂しい。権力者の気持ち。

京都の森を出た。

動物園の中央に、ゴリラの建物がある。ゴリラといえば、京都大学が思い浮かぶ。京大は霊長類研究の最先端であり、ゴリラ研究の第一人者が総長を務めていた。私の在学中、公式のゴリラ推しは加速していった。

動物園でもえらい人気である。体が大きいし、近くに来てよく動くので、見応えがある。園内をぐるりとまわったが、ここだけガチのカメラを持った中高年たちが場所を取り合っていた。そんなに?

ゴリラに人だかり
ほかのサル

動物園で私が好きな場所、それは「熱帯の小屋」である。京都市動物園にもある。さっそく入ってみた。

かわいい

すごくかわいい。それにしても、こいつらが自然界で暮らしている様子が想像できない。甲羅があるっていっても、彼らの敵はもっと強い武器をいくつももっているはずだ。のこのこ動いている場合ではないだろう。かわいいやつらめ。

弱そうな星々

熱帯を出ると、鳥がいた。さっきからこいつらが凄まじい音量で叫んでいて、みんながざわざわしていた。鳥をかわいがる気持ちは、あんまりわからない。

アカゲザルは類人猿舎に移動したらしい。動物園の真ん中に意味不明なアスレチックの廃墟が佇むことになった。

ゾウ、アジアゾウがいた。見た中でも圧倒的な見応えだと思った。最近、ゾウを見て「人間っぽいなあ」と思う。ほかの哺乳類と比べて、すごく人間らしさを感じる。なんでかなぁと思うのだが、やはりあれだ。毛がなくて、皮膚が丸出しの感じが、似てるなと思うのだ。

大量のスポンサーがつく、ゾウ。
奇妙な名前をつけられる、ゾウ。

エミューだ!エミューは好きだ。地味で脇役っぽいけど、見てると抜群に面白い。ひょうきんな動きでダイナミックに歩き回っている。

よく見てみると、けっこうワイルドでかっこいい。ダチョウとかより人気が出ていいはずだ。エミューに乗って世界を旅できたらいいな。思わず童心に返ってしまった。

クジャクだ。

クジャク居酒屋のお通しメニュー、白菜の磔。

さっきから。意味不明だけど綺麗な休憩所みたいなのが目立つ。しかし、壮観だな。とにかく水を噴き出せという発想は貧困に思えるが、実際見ていて飽きないからすごい。全国の温泉地でも、8方向に噴き出すBIG噴水を採用したらいい。

ノーコメント

この建物はなんだろう。近付いてみると―—

チンパンジーだ!動物園でいちばん怖いところ。ヒト科の生き物を展示する緊張感ったらない。

見当たらない。しかし―—

ワイルドアニマルズは存在する。

そりゃ熱くなることもあるか。


くだらないことを言っていたら、来園時70%あったスマホのバッテリーが16%に減っているのに気付き、撮影ができなくなった。ヘボすぎる!

最後に私が撮ったものは……

野生のカエルである。動物園の床で寝るカエル、嫌いじゃない。ワイルドアニマルズ!


文フリに向かう。

近くで、普通のフリーマーケットをやっていた。普通のというと失礼かもしれないが、とにかく普通のフリマである。そういうのも行ってみたいと思う。

入場数分前、みやこめっせに入ると行列になっている。やはりこう……、少し緊張感のある空気だ。そんな中で呑気に並んでいると、入場が始まり、みるみる列が進んでいく。

スムーズなもんだなぁ……。

ブースの設営もなんなく済んだ。もっと写真とか撮りたかったが、いかんせん13%の限られたバッテリーである。最小限の当日告知。ひもじい……。

初参加の文フリ、結果としては、良かった。持って行った15部は、15時前に完売してしまった。もう少し持っていけばよかった。ゆっくり検討していた方がいれば申し訳ない。かくして、この世の中に15人、私の小説本を持っている人が存在することになった。変な世界に迷い込んでしまったなぁ。

しかし寒かった。じっとして動かないせいか、配置のせいか、とにかく寒くて、落ち着かないほどだった。少し歩くと暑いくらいだったから、体温調節が難しい。急に月並みな話。

ほとんどの時間、自分のブースで静かに座っているだけだったので、実はあんまり思い出がない。寒くて、ひもじくて(スマホの充電ないから)、寂しくて、こんなもんかという感じ。そんな中で買いに来てくれる人は、本当、いっぱいちゅきという感じである。そんな人たちを喜ばせたいからもっといい文章書くぞ!という、最も根源的なモチベーションを得た。

途中から知り合いが来てくれて(呼んだ)、話していると、本が売れ始めた。ブース内で雑談してるくらいの雰囲気の方が立ち寄りやすいっていうのはあるよなという、そういう分析はできる。

そんなわけで京都8が終わり、次は広島6に出ます。新刊あるかも。かもです。よろしくお願いします。


お疲れさまでした。


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