ドルアーガの塔【RPG黎明期の問題作】
ナムコ 1985年8月6日発売
原作は1984年に発表されたアーケード版となっています。
ファミコンに移植されるとの報を聞いた時は、それこそ飛び上がらないばかりに喜びました。当時の私はアーケード版を遊んでいたものの、あまりの難しさに全面クリアを諦めていたところでした。
宝物の出現方法はBASICマガジンの付録(不完全で穴あり)と、それに書き加えて行ったらしき筐体に貼られた紙で或る程度は分かっていたのですが、それよりもアクション性の高さに挫折したのです。
本作でミスする要因を敵に求めると、マジシャン6割、ウィスプ2割、スライム2割と云った感じになると思います。その他の要因では扉と鍵の配牌8割、時間切れが1割、45Fでリザードマンとブラックナイトが合体しているが1割となります。
敵それぞれで倒し方の異なる独特なルールとランダム処理による不安定要素など中学生の私にはかなり難しいゲームであったのです。
それに当時本作を遊んでいたのはマニアの中のマニアと呼べるような濃い人種であったので、そのような人たちがいない瞬間を見計らって遊ばなければならなかった事も関係しています。大体にしてそのような人たちは自分らの全面クリアプレイを照明避けの段ボールで隠していましたし、誰かが遊び始めると決まって小馬鹿にしながら観賞するのを常としていました。
上達しようにもそれを許さない環境がゲームセンターにあった訳です。そんな折に発売されたファミコン版は正しく天の恵みにもなると思っていました。
予約までして購入したファミコン版の正直な第一印象は「なんだ、こりゃ?!」でした。
かろうじて「ドルアーガの塔」に見えるものの、迷路は狭いし、レンガが赤すぎて不自然だわ、ゴールドナイトたるギルがカッパーナイトに見える上に、剣を出してるんだか出してないんだか分かり難いやら、サウンドの音色がチープだわ、グリーンスライムからして落ち着きなく動き回り過ぎだわ……とアーケード版との違いが目立って仕方ありません。遊んで行く内に慣れては行ったのですが、細かい違いがそれにも増して見えて来るようになりました。
とは云うものの最終的には家庭用ゲームとして良く出来ていると思い至りました。少ない容量と貧弱なハード性能でよくここまで再現出来たものだと感謝したほどです。アーケード版にひとかたならぬ思い入れがあったが故の落胆に過ぎなかったのでしょう。その証拠には遊びまくって購入3日後にはノーコンティニューでクリア。「裏ドルアーガ」の存在に気付きBeep誌に電話したのも良い思い出となっています。
「裏」は自力で全ての宝物の出現方法を発見するまでやり込みました。以後ゲーセンで再び遊び始めた事でアーケード版もクリア出来るようになりました。これはひとえにファミコン版での練習の賜物と云えるでしょう。
現在そしてこれからも「ドルアーガの塔」は私の中で歴代ビデオゲームTOP3の中に留まり続ける事は確実なのです。