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グロブダー【今からでも遊び込みたい完成度】

1984年にナムコから発表されたビデオゲームです。

作者は遠藤雅伸さんで「ゼビウス」「ドルアーガの搭」に続く3本目の作品と云う事になります。

氏は低予算短時間と云う枷を自らに課して3ヶ月で制作したとも語られています。氏の作品の中では最もマイナーな本作ですが、とてもシステマティックな好ゲームに仕上がっていると思います。しかしユーザーの支持も得られず売上を稼げる作品とはなりませんでした。

ゲーム内容は固定画面のシューティング物となっており、自機戦車「グロブダー」を8方向に移動させて画面内の敵を全滅させると云うルールです。

移動の他にショットボタンとバリアーボタンを駆使して闘います。

移動は8方向なのですが、ショットは16方向に対応しています。これはドット単位の細かい操作が可能としたもので、レバーの操作が或る1方向へ一定値を越えない限りショットの方向として指示出来ると云うシステムです。デジタル入力にアナログ感覚を与えた素晴らしいアイディアだと思います。

そしてバリアーボタンを押す事で自機の周囲に防御膜が張られ無敵となります。自機に耐久力は設定されていませんので、これを活用しなければ1面クリアもおぼつきません。バリアーはエネルギー制を採用しています。敵の攻撃を受けたり、爆発に巻き込まれる、または自機が移動する事などに依りエネルギーの消費が高くなり、画面下にあるゲージが赤くなると効果も切れてしまいますが、時間を経る事で回復もします。

ゲームシステム自体は非常に完成度の高い本作なのですが、ユーザーの支持を得られなかった理由は難度の高さに起因したものだと考えられます。

先ず敵の弾の速度が異様に高いのです。目で見て避ける事は不可能な程です。しかし、これはバリアーを準拠としたシステム上作者からすると当然の仕様だと思います。自機の移動速度が遅いのもバリアーを使うゲームなのだよと云う作者からのメッセージでしょう。

ゲーム進行の流れからすると、面スタート時にショットを乱打して近隣の敵を撃破、バリアーを張りながら移動、安全な場所からショット方向を動かして残った敵を倒して行く……と云うのが本来の狙いだったのではないかと考えられます。

しかし、敵の攻撃が激し過ぎる為に、この攻略法が見え難くなっているのが一般層に面白さが敷衍出来なかった本作の敗因だったのではないでしょうか。

あまりの難しさを物語る証拠としては、当時ナムコのゲームセンターでは100円3クレジットに設定されていた事ででも知れます。全99面もあるゲームなのですが、上にある写真の最終面はプレイヤーを絶望させるほどの難度としても有名でした。発売されてからかなりの年数を経た後にイージー設定での全面クリアが出たと云うのも伝説となっています。

しかし面セレクトが最初から付いているあたりに遠藤さんの計算が見えるような気もしますね。

本作の難度がもう少し低く設定されていたのなら、万人にも遊べる佳作としてヒットしていたのではないかと思います。せめてバリアーが半自動的に張られるだけでも結果は違っていたかも知れません。

しかし現在までプレイされている方たちが存在し、その熱量を考えると本作は完璧に近い完成度を誇っているとも考えられるのです。

余談になりますが、本作は米アタリ社の遺伝子を持った最後のゲームと云う印象があります。米ウィリアムズ社の名作「ディフェンダー」の雰囲気もありますね。作者である遠藤さんの海外ゲーム好きは有名なところですから自然とそのような味が出ているのではないかと思われます。

2004.11.01

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