「冬」との和解
今日の話は「企画」という目線からちょっとずれているかもしれませんが。
私は生まれも育ちも本州最北県の、青森です。
北国の人の多くが共感してくださると思うのですが、冬が得意ではありません。
それは圧倒的な厳しさのせい。
外にいるだけで痺れるような寒さに襲われますし、外に長居すればまつ毛も前髪も凍ります。
雪かきを繰り返せど繰り返せど雪はやまないし、もう、子どもの頃から、冬がきらいでした。
その気持ちは大人になって、なくなったわけじゃありませんが、それでもたまに、「冬って悪くないな」と思える時があります。
そんな瞬間に出合えるようになったのは、この仕事を始めてから。
この景色、見たことありますか。
氷瀑。読めますか。ひょうばくです。
よく、氷爆と間違われます。それじゃ、爆発しちゃう。
氷瀑とは、湧き水や滝が凍ったもののことです。
私が勤めているホテルの、冬の目玉になっている景色です。
「氷瀑ライトアップツアー」、その名の通り、氷瀑がライトアップされた、幻想的な景色を楽しむアクティビティです。
確かに、間違いなく、絶景。
でも、時に、極寒。
マイナス10度以下まで冷え込む日もあります。
でも、お客さまはそんなのお構いなく、寒い中でも楽しそう。
むしろ、気温が0度まで上がって「今日はあったかいですね」なんて話しかけると、ちょっとテンションが下がったりする。
これは、衝撃的でした。
だって、私にとって「寒い」はとてもつらいことで、「あったかい」はとてもハッピーなことだったから。
これが逆転していることに、頭を打たれたような気持ちでした。がーん、って。
たぶん、北国に住む多くの方にとっては「冬」というのは、倒しがたい難敵なのだと思います。
でも、お客さまにとっては「寒い」は非日常で、時間をかけてでも体験したいことのひとつ。
煩わしいほど大量に降る、雪もそう。
冬が、ひとの喜びを作れるんだと知った瞬間でした。
それからは、冬が大嫌いではなくなりました。
寒さこそが作り上げる絶景もあるのだと、待ち遠しく思う瞬間すら、あります。
そういう意味で、このアクティビティは私には、とっても面白くて衝撃的な企画です。
北国の人こそ、みにきてほしいな。この景色と、寒さに喜ぶ人たちを。
このツアーも、今シーズン分は明日でおしまい。
来年もこの絶景に会えることを、悔しいながらも、楽しみにしています。