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ハイスぺなコンビニと、ロースペな学校教育

みなさんはコンビニでバイトしたことがありますか?

私は学生時代とにかく早くお金になる作業系のバイトばかりでコンビニの経験はありませんでしたが、就職氷河期には「有名大卒なのにコンビニバイトしか職がない」といった例えに出されるほどイージーな仕事と考えられていました。

まあ確かに深夜のコンビニは繁華街でもなければ客も来ないし、業務はマニュアル化されていて難しくはないし、当時流行った言葉でいえば3K(きつい・汚い・危険)からも縁遠い楽な仕事でした。

でも今はそうではありません。


近年の決済サービスは乱立が激しく混迷を極めていますが、そんな状況に対応している今のコンビニ決済の種類をまとめた表がこちらになります。

およそ100種類の決済手段があり、私は思い出せる分ではこのうち10種類くらいしか使ったことがありません。
おそらくもっと少ない人がほとんどでしょう。

支払方法だけでこの状態で、その他、商品受け渡し・宅配等の手配・タバコ等の販売・公共料金等の代行収納・品出し・陳列・調理等の作業・清掃・コピー機やATM等の対応・その他店舗ごとのサービスもあります。

それを必死にやっている店員さんには頭が下がります。


ハイスぺ業務の増加と足りない労働者


Xで、近年社会が労働者に求めるスペックが上がりすぎてそれが昨今の労働力不足の一因ではないか、という問いかけがありました。

求められるスキルが高すぎるというのは、客として店のセルフレジで支払いをするだけでも画面の案内に沿って正確に作業を行わないといけないことからも明らかです。


ある安いファストフード店に行った際、お年寄りがカウンターに座ったまま何もしないので不思議に思って横目で見ていました。
するとその人は外国人の店員に意を決して「注文したいんですが…」と話しかけていて、あ、画面で注文する仕方が分からなかったんだ、とその時気づきました。

客が注文すらできないくらいの面倒なシステムに対し、従業員はそれより数倍複雑な操作方法を覚えて効率的に対応しなければなりません。

そういった普通の店に昔なら簡単に入り込めたはずのかつての単純労働者は、もうそこに入る余地はないでしょう。


IT教育の危機的すぎる状況


子供の中学受験の際、今の学校教育の内容を見る機会が多くありましたが、その中で小中学校が行っている義務教育の危機を肌で感じました。
特にITに関する教育がとにかく非常に遅れているように思います。

IT教育というと短絡的にプログラミングであったり、またはSNS等のリテラシー、1人1台の端末導入であったりといった話題しかなく、コンビニのように生活圏に深く入り込んでいるITについて何も教えていないようです。

例えば教育現場では、鉛筆とノートがタブレット端末になり、紙のレポートがワードなどのアプリで作成され、調査や情報収集、または共有がネットで行える、といったIT技術の導入による効率化が進んでいます。


しかし現実の社会はもうその相当先に進んでいて、まず大前提としてITを利用者として効率的に使いこなす知識と経験が必要であり、それがなければ単純労働にすらありつけない恐れがあります。

現在は教える側の先生の多くが世間に出ていない人のためIT技術の実地経験が非常に乏しく、生徒に教えられるだけのスキルがありません。
近年の学校の労働条件悪化でそれがより厳しくなっていると思います。


さらに高度な仕事に関わるには、社会にあるデータを集めて分析する力、デジタルでの予測をもとにアナログな実世界を最適化する力、そしてそのサイクルを回す力といった能力が必須になっています。

学校で与えられた課題を覚えて正解して終わりではなく、解決すべき課題を見つけてデータを集め、理論的に可能な対処法を探り、強い意志で改善に導くといった行動をデジタルで行うための勉強が必要です。

さすがにそれは義務教育では無理ですが、大学受験でさえ記憶や思考を紙に書くだけの試験ばかりの今の状態では、課題発見・分析・予測・解決といったタスクに必須な能力を見極めることはできません。


けっきょく個人の努力が必要


ITはアナログな古い世界をデジタルで便利にするだけではなく、現実すべてを把握するために必要なものになっており、今後の社会で今の子供が活躍する武器は確実にIT技術になります。

しかしそれを学校がちゃんと教えてくれるという期待は出来ません。
個人で努力するしかないと思います。

コンビニバイトくらいしか出来ない、なんていう平成の悪口はもう通用しなくなり、これからは「コンビニで働けるくらいちゃんとしたITスキルを学生のうちに身につけておくれ」と子に願う親ばかリになるかもしれません。




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