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3.11 地震と原発の見えないパニック(後編)

前編はこちらです↓


これはかなり事後的に知った話です。
東日本大震災の被災地で、私の記憶の限りほとんど報道はされていませんが、かなり厳しい状況があったことを具体的な事実とともに知りました。

それは、地震後に物資がなくなり、過酷な避難生活の中で物資の激しい奪い合いが発生していたということ。
またそれがエスカレートして、暴力的な事件、傷害や殺人まで発生していたが、報じられることはなかったということ。

詳細は言えませんが、当時そのような現場に行かざるを得なかった立場の人からかなり具体的に話を聞くことがあり、その内容に衝撃を受けました。


非常時にアクセスできない情報がある


よく日本は災害時に略奪などが起きない治安の非常に良い国だと言われます。海外から報じられるさまざまな事件と比べると、実際に平和が保たれているのだろうと思います。

しかしそうではない話もあるのだと知ってしまうと、世間の評判など決して鵜呑みにしてはいけない、非常時は自分の身は自分で守らないといけないと強く感じます。

ではなぜそのような事件が表に出てこないかというと、報道による二次的な被害を防ぐために意図的に伏せられていたのだろうと思いますし、その姿勢はとてもよく理解できますが、そのように「隠す」だけでよいのか少し疑問を感じます。


もうひとつ情報の不足に悩まされたのは「計画停電」です。

電力事情がひっ迫し、ほぼ突然の決定で多くの地域が計画停電となり、相当な混乱が発生したことは皆さんも覚えていると思います。

緊急事態なので混乱は仕方がないし理解できますが、実施時期、地域がいつになってもよく分からず困りました。(たまたま家は範囲外でしたが)
また情報がないため、鉄道沿線、街道沿い、電力が必要な施設の近くでは停電しないといった、いろいろなうわさが飛び交っていたのを思い出します。


選択肢が少ない場合どうしたらよいか


もし自分が次の大災害の影響を受ける状況となったとき、災害直後の身の危険だけでなく、例えば有害な物質が遅れてやってくる可能性や、避難生活での危険を察知し、その危険から自分や家族、弱い立場の人、周りの人々を守るために何が必要でしょうか?

まず第一に当然ですが、危険を察知して身を守る、逃げる、避難することが最も大事です。

自分や家族の避難方法を把握しておき、訓練などを通して準備しておく。身を守るものや数日間過ごせる備えなども必要です。

ただ仮にそこに対応できたとしても、食料、水、電気の確保や、インフラなどに大きな影響が発生している可能性が高く、その際は正確な状況の把握がとても大事になると思います。

しかし、自治体や大手メディアなどからの情報を受け身で待っているだけでは、「未知の危険を察知するために早めに集めておきたい情報」はまず手に入りません。

そしてその危険性は自分が思っているより高いとあの地震の体験から学びました。


アクセスできない情報の中に、自分に直接危険が及ぶ可能性のある事柄が含まれていたら、その情報を何とかして手に入れるかあきらめるかで、大げさではなく生死を分けることになります。

さらに、そのような危険を遅れて知らされた多くの人は確実にパニックを起こし、より悲惨な状況に陥る可能性もあります。

今の私には、この問題を回避する方法が「自力で情報を得て判断できる力を高め、いざというときに備える」以外に思いつきません。
でも、どうやって?


災害への備えとして、物資や食料の備蓄、定期的な訓練といった準備は当然必要です。
しかし、災害時の情報取得に関する準備はほとんどされていないのではないかと思います。

NHKやTwitterは電気と通信が生きていれば頼りになりそうですが、電気や放送通信のインフラが止まったらどうしようもありません。
その場合は、警察、消防や、地域の連絡といった人づてに頼るしか方法がなくなります。

例えば避難訓練などの際に、電力と通信が止まった想定で避難をしてみるシミュレーションを行ってみれば、それがどれほど大変な状況か実感でき、地域や公共のネットワークと改めてつながっておかなければ、といった備えができるかもしれません。

また情報の提供側も、災害時にも途絶えないよう複数の情報経路を確保し、危険や緊急度に応じた素早い情報提供ができるように準備していただければ本当にありがたいし、いざというときの不安が減ると思います。


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