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店内の空気がいっそう重くなった気がした。 キツネ先輩はじっと坂井さんを見ているし、坂…
「ただいま戻りました」 僕が言うとコトリ先輩が 「おかえりー」 と朗らかに返してくる。 …
「マヨナカに入ることができる存在って、どうやって選ぶんですか?」 僕が尋ねると坂井さん…
マヨナカで働くにはマヨナカに対して柔軟に対応できる人間であると陰陽庁に認めてもらう必要…
「人の名を名乗ると言うことは、あなたは妖なのだろうか」 猫教授の言葉に坂井さんは頷く。 …
「この建物全体が今はこの世とあの世の間にあると先輩に教わったのですが、お客様はどうやって…
「お待たせしましたー。鯖味噌煮定食でございます」 店員さんが猫教授のところに膳を持ってくる。 「ありがとう」 猫教授は目を細めて笑った。 「あ、注文いいですか? 日替わり定食お願いします」 ついでに僕は店員さんに注文を言って、改めて猫教授に目をやる。 「猫には味が濃いんじゃないんですか?」 僕の言葉に猫教授は器用に箸を持ちながら 「詳しいのだな、名も知らぬ書店員よ」 と言う。 「僕のことはオオメダマとでも呼んでください。この場所ではそれが僕の名前なので」 僕が言う
「ただ混み合っております。相席でしたらすぐにご案内できますが——」 店員さんの言葉に僕…
「じゃあ、オオメダマくんは今から休憩ね」 レジカウンターを出ようとする僕にコトリ先輩が…
大きなカラスだった。 そろそろレジも交代の時間かというときに来店したのは、それはそれ…
「ありがとうございましたー」 なるべく普段通りの声でそう言って、僕は大きく伸びをする。 …
レジで行う業務は何も会計だけじゃない。 担当を持っている先輩方は会計の合間に売り上げ…
「もともと、昼は人の時間で夜は”彼ら”の時間だったそうですよ」 在庫チェックをしながら…
「いらっしゃいませー」 シャッターが開くと同時にレジにいた先輩が声をあげた。 「本をね、探しているの」 続いてお客様と思しき若い女性の声。 「かしこまりました。こちらのサービスカウンターにお回りください」 先輩はそう言って僕の方にお客様を促す。本を探すのは先輩の方が圧倒的に上手だけれど、いつまでも先輩に頼るわけにもいかないので、なるだけ自分で頑張ろうと僕は気合を入れてお客様と向き合うことにした。 当店の入り口にでんと構えたカウンターはL字型になっていて、入り口に面した