10年前の3月11日の記憶
【「ただいま~!!」
この日は遠足だった。小学校のお別れ遠足を楽しんで帰ってきた私は、母にハグしてもらおうといつものように大きな声で
「ままー!」と呼び、母の下へ駆け寄った。
いつもならすぐに返事をしてくれる母が、この日は
「…あ、おかえり!ごめんごめん。」と、なんだか様子が違っていた。
母の視線の先にはテレビの画面があった。
「なにこれ。ドラマ?」
当時幼かったとはいえ、自然災害の恐ろしさというものをあまりにも知らなさ過ぎた。テレビで放送されているものはドラマでも映画でもなく、今、現実で起こっている地震と津波の様子であった。
ヒトが波に飲み込まれていく様子、物が崩れ落ちていく様子、テレビが壊れそうなほど低く、重く、鳴り響く地鳴り音。津波が来ていることを知らずに山とは反対方向に走ってくヒトの様子。
すべてが現実であった。小学生の私は、しばらくしてようやくその状況を理解することが出来た。
「地震、くるの?この後、どうなるの?」私は母に問いかけた。
「…。」母は黙って私を膝に乗せ、そっと手を握ってくれた。
ただそれだけなのに、私は「ああ、これから大変なことがまだ起こるんだ。」となんとなく思った。
…あれから10年。長いようであっという間の月日が流れたように思う。
被災地の復興を願うすべての人の想いがつながり、なんとか歩んできた10年なのだろう、と私は感じる。直接被災した身ではないため、自身の恐ろしさ、津波の恐ろしさ、大切な人を失った人の苦しみ、普通の生活を奪われた人の不安などを完全に理解することはできない。「理解した」ということがそもそもおこがましいとさえ思う。
2021年3月11日、様々なメディアで10年前の今日を振り返る内容が日本中を駆け巡る。あの日、被災された方々のすべての苦しみを理解することはできないにしても、同じ日本人として、同じ「あの日のあの時間」を生きていた人間としてあの日を忘れないようにしたいと思う。
少しづつ復旧しているといわれるが、完全に復興しているわけではない。これは、終わりのない旅だと思う。この終わりのない旅をみんなで乗り越えていく、それが今を生きる私たちがすべきことなのではないか、と思う。】
こんにちは、shirokumaです。2021年3月11日、今日は日本人の私にとっては特に重要な日だったように思います。noteという発信の場を借りている身として、10年前のことについて何も述べないということはできず、勝手ながら10年前の記憶といつも考えていることなどを書かせていただきました。
最後に、1冊、本を紹介させてください。
「福島の子供たちが描く、あの時、今日、みらい。」です。
この本は、NPO法人3.11こども文庫さんが、震災後翌日にはじめた「被災地の子供たちに絵本と画材を!」というプロジェクトから生まれた作品だそうです。私は以前この本に出会いました。今でも子供たちの作品が私の心に鮮明に刻まれています。
どうか、一度手に取ってあの日を生きていた子供たちの記憶を大切にする人が増えると嬉しいなと思います。
すみません、長くなりましたが、今回はこのあたりで!
今日を生きるすべての人に幸あれ!
*テーマ画像はみんなのフォトアルバムより漆畑美佳様の作品を引用させていただきました。