デザインとテクノロジー
先日「佐藤可士和展」へ行ってきました。彼は数々の企業のブランディングを手がけている有名なクリエイティブディレクターです。
今回はデザインやブランディングのもっと奥深いところを探れるのではないかと思い行ってきました。
私にとっては久しぶりの外出でした。桜が咲いていて、春の風が気持ちよかったです🌸
入るとすぐ、懐かしい時代の広告が展示してあり、拙い私の記憶の中にはっきりと残っている広告が何点かありました。(当時は彼が手がけた広告だとは知らず💧)SNS が普及した今、身の回りにはたくさんの広告で溢れています。でも、それが無かった時代に個人の記憶にここまで深く刻まれているものを作るってすごい。
奥に進んでいくと、広大なスペースの中に、彼が今まで手がけたロゴが大きなサイズで展示してあります。写真は小さいですが実際はもっと迫力があります!
隅っこのスペースに各ロゴの精密な設計図が展示してあるのを発見。一見地味に見えるこのスペースですが、写真を撮る人が絶えません。なかなかの人気コーナーのようです。
この他にもたくさんのプロジェクトを紹介していましたし、どれも素晴らしいのですが、なぜか私にとって一番印象に残っているセクションでした!!!美しいとしか言えません・・✨
この展示を通して、佐藤可士和流のデザインやブランディングのプロセスをわずかながら垣間見ることができました。一回観ただけでは自分の中で消化しきれず、思わず買ってしまった公式図録❗️自宅でじっくり読んでいます。
図録を読んでいると、彼は長い時間をかけてクライアントと話し合い、リサーチし、その企業が大切にしている事は何か、問題点は何か、さまざまな視点から深く掘り下げその企業のコアとなるものを探り当て、集約しデザインに落とし込み磨き上げていく、そのような過程に見えます。
そしてそのプロセスは昨今、数々の企業経営や製品開発に役立てている「デザイン思考」に通じているものがあると感じました。
デザイン思考とは
本来のデザイナーの役割は製品開発の過程の中で、製品の美しさや機能性を追求することでした。しかし現在、多くの企業がそのデザインプロセスをビジネスに埋め込み、デザイン思考によってイノベーションを起こしたり、より良いサービスの開発に繋げています。
その歴史は古く、1960年代に問題を創造的に解決するための特別なアプローチとしてデザイン思考が生まれた後も、たくさんの学者や大学などの研究機関によって提唱されています。
今回は、スタンフォード大学のd.schoolが提唱する『デザイン思考の5段階』という思考モデルについて書きたいと思います。
d.schoolは、デザイン思考の教育分野で他を牽引する存在で、これによるとデザイン思考の5段階とは共感、問題定義、アイデア出し、プロトタイプ、テストで構成されています。
STEP 1. 共感 (Empathize)
実際にサービス・プロダクトを使うユーザーを理解・共感する事が最初のステップです。インタビューやアンケートを実施し、何を求めているのか、問題点は何かといった情報を集めます。
STEP 2. 問題定義(Define)
次に、集めた情報をもとにそれらを分析して統合し、メインとなる問題を定義します。その際に、ユーザーの年齢や性別・年収などの属性だけを考慮するのではなく、誰が・なぜ・どこで・いつ・どのような動機でそのプロダクトを使うのか?を定めた詳細なペルソナ(サービス・商品の典型的なユーザー像)を作成します。
STEP 3. アイデアをたくさん出す(Ideate)
ここまできたら、たくさんのアイデアを出します。一つの問題に対してチームでブレインストーミングをし、アイデアを出し合います。その際、「Thinking outside the box(箱の外で考える)」がキーワードとなります。型破りで違った考えでも良く、新しい視点からアイデアを出すという意味です。それをよく表しているのが、アメリカの自動車会社の創始者であるヘンリー・フォードの有名な格言。
“If I had asked people what they wanted, they would have said: faster horses”
「ユーザーに「何が欲しいか」と聞いていたら、速い馬が欲しいと答えるだろう(=恐らく我々の会社は速い馬を作っていただろう。)」
実際に彼がこのように発言した証拠はないとされていますが、単純にユーザーに何が欲しいかを聞いたところで、帰ってくる答えはユーザーが想像できる範囲の事・モノでしかなく、「既成概念にとらわれずに考え」そこから潜在的なニーズをキャッチして発想を転換させることがこのプロセスでは重要です。
STEP 4. 試作 (Prototype)
今度は、製品やサービスの試作を作ります。目的はこれまでのステップで見出した問題に対しての一番の解決方法を特定することです。作ってみなければわからないことも出てきます。
STEP 5. テストする (Test)
製品を市場に出してテストしましょう。最後のステップですが、このデザイン思考は繰り返し行われることに意味があります。
ユーザーからの意見を取り入れて、前の段階に戻り、変更・改良を行い磨き上げていきます。
イケてる企業はデザイン思考をうまく取り入れている
アメリカの調査では、デザイン中心の企業とそうでない企業を調査した結果、デザイン思考を取り入れている企業は過去10年間で株価の伸びが228%も上回っています。
Design Can Drive Exceptional Returns for Shareholders
by Jeneanne Rae
20世紀までは、日本の企業のように、高品質で耐久性のある製品を作れば売り上げを上げることができた時代でしたが、現在は高品質であることを前提として、ユーザーの目線で考えるデザイン思考をうまくかけ合わせ、差別化をしていかないと生き残れない時代になっています。
パナソニックのIoTカメラ「Vieureka」 × ビーコア
私たちは、ビジネスイノベーションを加速させているパナソニック株式会社 「 Vieureka プラットフォーム 」のパートナー企業に2017年から加わり、IoTカメラ・ Vieureka を採用した彩色兼備ソリューション・入退室管理システムや位置管理システム・モノ常時管理システムを提案しています。
日本が培ってきた技術とデザイン思考で、私たちビーコアも試行錯誤しながらソリューションの開発をしてまいります。
\お知らせ/📢
ライター・リギリの産休のため、ビーコア公式noteはしばらくお休みをさせていただきます。
復帰しましたらまた、バリバリ記事を書いていこうと思います💪
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Top Image by Pexels : Axel Vandenhirt
ref. Design Thinking
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