腰痛のガイドラインを知ろう!
どうもです!
今回は誰もが一度は経験したことがあるくらい多くの方が悩んでいる「腰痛」について、ガイドラインを元にお伝えしていきます!
まずは、腰痛について知っていきましょう!
●腰痛の定義
腰痛ガイドライン2019で定義されています。
●疫学
腰痛への負担的負荷が大きいと腰痛の因子になる
心理社会的因子は腰痛の発症と予後に影響を与える
BMIと腰痛に有意な相関関係はない
運動不足は腰痛発症の危険因子ではない(筋力や可動域よりも運動習慣が大事)
腰痛にうつや精神的要因が関与している
腰痛は発症後1ヶ月で急速に回復する
腰痛発症後の12ヶ月以内に約60%が再発する
心理初回的因子は腰痛蔓延の原因になる
よく「筋力がないと腰痛になる」「運動しないと腰痛になる」「太ると腰痛になる」といったご意見を頂戴することがありますが、これらはエビデンスとしては乏しいということをご理解ください。
それよりも、心理的な要因や生活習慣の方が腰痛の発症因子となります。
特に生活習慣に介入することはとても重要になります!
●鑑別診断
危険な疾患を鑑別する
画像診断は全例に行うことは必ずしも必要ではない
危険信号や神経症状を伴う腰痛、保存療法で解決しない腰痛は画像診断の必要性が高い
神経症状の場合はMRIの評価が推奨
稀ではあるものの、腰痛が「感染症」や「がん」など重い病気のサインであることもあります。
※腰痛のレッドフラッグサイン
・最近の激しい外傷歴(高所からの転落、交通事故など)
・進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係)
・広範囲における神経症状
・発症年齢が20歳未満か50歳以上
・悪性腫瘍の病歴
・長期間にわたる副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)の使用歴
・脊椎叩打痛
・胸部痛
・体重減少
・身体の変形
・発熱
・腰部の強い屈曲制限の特徴
・非合法薬物の静脈注射、免疫抑制剤の使用、HIVポジティブ全般的な体調不良
・膀胱直腸障害とサドル麻痺
これらの所見は、臨床で見逃さないようしっかり鑑別していきましょう!
●治療
休む期間が長くなればなるほど職業復帰の可能性が低くなる
腰痛に対して薬物療法は有効(第1選択はNSAIDs、アセトアミノフェン)
安静は必ずしも有効な治療法ではない(特に坐骨神経痛)
温熱療法は急性、亜急性に対して短期的には効果的(質の高いエビデンスはなし)
運動療法は急性腰痛(4週未満)には効果なし、慢性腰痛(3ヶ月)には高いエビデンスがある
運動の種類によって差はないが、ヨガや気功などのメンタルヘルス要素を入れるといい
運動量、頻度、期間については不明(週1〜2回で身体の生理的変化が出る12週は継続する。特に腰部伸展動作)
腰痛コルセットは機能改善に有効(疼痛改善には効果なし)
短期的には脊柱マニピュレーションが効果的だが、長期的には運動療法との差はない
患者教育や認知行動療法は効果的
徒手療法は急性及び慢性腰痛に対して、他の保存療法よりも効果があるとは言えない
腰痛で大切になってくるのは、どんな手技をするかというよりも
どんな病態で、どんな病期なのか?
これをしっかりと判断した上で
最も効果的な治療方針を決めていくことです。
即時的、一時的な効果だけを追い求めても、本当の解決には至りません。
適切な医学ベースに落とし込んで考えていきましょう!
●予防
コルセットの腰痛予防には一致した見解がない
職業性腰痛は早めに復帰した方が病休の長期化を防ぐ
運動は腰痛の再発予防に効果的(腹斜筋、腹横筋、多裂筋、腰方形筋、大臀筋、中臀筋、ハムストリングス、内転筋などなど)
ストレッチや持久系トレーニングもおすすめ
姿勢やボディメカニクスの指導が腰痛発症の予防に有効であるというエビデンスは少ない
腰痛を予防していくのに運動量や活動量が影響を与えているということですね。
●鑑別
①椎間板性腰痛の特徴
前屈動作で痛い
骨盤後傾で痛い
座位で疼痛が強く、立位で軽減する
咳やくしゃみ、いきみで誘発される
障害部位の上下棘突起に圧痛あり
②仙腸関節性腰痛の特徴
疼痛部位を指で指し示せる(one finger test 陽性)
PSIS付近、仙結節靭帯の圧痛あり
座位で疼痛が誘発される
片脚立位の軸足で疼痛が誘発される
腰部屈伸で局所的な疼痛が再現される
③椎間関節腰痛の特徴
立位で疼痛が誘発される
腰椎伸展や回旋で疼痛が誘発される
起床時、動き始めに疼痛が誘発される
急激な動きで疼痛が誘発される
同一姿勢で悪化する
④筋・筋膜性腰痛の特徴
疼痛部位の範囲が比較的広範囲
筋肉の収縮あるいは伸張で疼痛が誘発される
筋組織に圧痛がある
同一姿勢で疼痛が誘発される
●まとめ
腰痛ガイドラインで挙げられている内容で意外だったこともあるのではないでしょうか?
これが全てではありませんが、臨床で腰痛をみていく上でこのようなエビデンスのある考え方や評価・治療体系を頭の中に持っているだけで、専門家にとっても施術を受ける側にとってもメリットは大きいと言えます。
膨大な情報量が蔓延っている現代社会で、先人たちが培ってきた確かな情報を使わないのは勿体無いです。
ぜひ臨床に活用してもらえると幸いです。