自著の紹介など
みなさんこんにちは。BCP策定アドバイザーの昆です。
今回は、私がこれまで書いてきた本についてご紹介します。BCPや登山リスクマネジメント関係の本、銀行の中間管理層向けテキストなども含め全部で14冊ありますが、このうち現在アマゾンで入手可能な3冊をピックアップし、執筆当時の裏話なども交えて語ってみたいと思います。
『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP』
(日刊工業新聞社)
本書は、おそらく数あるBCP本の中では最も基本的な入門者向けの本です。執筆の動機は、多くの企業やBCP講習会の主催者から「BCPは難しい」「書類作りで終わってしまい、いざという時役に立つとは思えない」といった声を繰り返し聞いていたことです。
そこで従来の原則的なBCPの考え方のうち、実務の観点から見て必ずしも必要とはみなされない部分をスキップしたり手順を簡略化したりすることで、より分かりやすいBCPの作り方を目指しました。おかげさまで本書は多くの読者様に受け入れられ重版第4刷まできました。が、私としては必ずしもこれで十分と考えているわけではありません。
と言いますのは、とくに令和の時代に入ってリスクの多様化、極端化が進んでおり、組織の規模が大きい会社ほど、本書のような初歩的なアプローチだけでは対応が追いつかないことがはっきりしてきたからです。
現在私は、全方位のインシデントに対処するマルチハザード型BCPの考え方と作り方を研究しています。近いうちに、この基本的な策定ステップについてnoteで連載を開始する予定です。関心のある方はぜひご覧いただければと思います。
『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身にあった』
(山と渓谷社)
私は趣味の登山を始めて40年以上になります。単独行が多く、若い頃はかなり危険極まりない無謀な山歩きをやっていました。その反省や教訓、見聞きしたヒヤリハットなどを、登山における「転ばぬ先のリスクマネジメント」として書いてみたいと思っていました。
その出発点となったのが2013年刊行の『山で正しく道に迷う本』(日刊工業新聞社刊)で、これは当時の私の愛読書の一つだった『旅する哲学 ―大人のための旅行術』(アラン・ド・ボトン著)のアプローチを真似て書いたエッセイでした。
その後『山で正しく道に迷う本』がきっかけとなり、雑誌『山と渓谷』から2015年~17年の2年間にわたって登山リスクマネジメントに関する連載を書かせていただく機会を得ました。本書はこの連載原稿を、大幅加筆修正してヤマケイ新書として刊行したものです。
この山のエッセイを書くにあたってとくに気をつかったのは「軽いノリ・ユーモラス・読者目線」のタッチで語ることでした。なにしろ『山と渓谷』は、プロから一般ハイカーまで多様な読者を持っています。登山ガイドや登山教室の先生のような肩書があるわけでも、ヒマラヤ経験があるわけでもない、登山スポーツ医学や気象研究の第一人者でもない。ただの趣味で登山をやっているおっさんが書く文章なので、くれぐれも上から目線の文章にならないように細心の注意を払いました。
ちなみに現在、危機管理ポータル「リスク対策.com」では『山を歩けばリスクに当たる』を連載中です。初級登山者ハルトを主人公とする物語風の内容です。興味のある方はぜひご一読ください。
『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』
(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
レジリエンスとは「回復力」のことで、さまざまな分野で使われている用語です。防災やBCPの分野では災害のダメージからいちはやく復旧する力のことを指し、心理学の分野では心のダメージやトラウマから立ち直る、あるいはダメージの原因となった環境に柔軟に適応していく能力のことを指します。心のレジリエンスとくれば、私のみならずおそらくどんな人も一度は関心を持つでしょう。
このようにレジリエンスの意味や定義はわりとはっきりしているのですが、これを獲得するための方法論となると、日本語で書かれたどのレジリエンスの参考書を読んでも、いろいろな先生がいろいろな見解を述べていて、なかなか落とし所が見つかりません。そこで私は、レジリエンスを提唱した欧米のソースを当たってみることにしました。
レジリエンスに限ったことではありませんが、そもそも海外で提唱され、日本に翻訳されて入ってきた新しい概念については、可能な限りたくさんのオリジナルに近い情報に当たるのが筋です。例えて言えば、ある外国人が日本の武士道の本質を知りたいと考えた時、自国の言葉に翻訳された武士道の本だけで満足するでしょうか。そこには日本人から見て微妙な勘違いや曲解が潜んでいる可能性があるからです。
ともあれ、米国心理学会のサイトから個人の心理学者のブログに至るまで、海外のさまざまなレジリエンスの情報を参考にして書き上げたのが本書です。「この本を書いたあなた自身はレジリエンスを身に着けたのか?」ですって? それについては内緒にしておきましょう。ちなみに書名の「リーダーのための」はもともと私の原稿にはないタイトルでした。出版社さんから送られてきたゲラを見てはじめて気づいた次第です。
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