#5 緊急対応マニュアルの書き方
最終回は「緊急対応マニュアルの書き方」についてです。
■緊急対応マニュアルの構成
緊急対応マニュアルは2つのブロックで構成されています。
一つは「避難計画」「安否確認」「応急救護」「帰宅困難者対応(+非常時備蓄)規定」など、災害の種類を問わず命を守るための行動を規定した基本マニュアルです。みなさんの会社の防災マニュアルの中身と同じなので、書き方についてはそれらを参考にしてください(もしみなさんの会社に防災マニュアルを完備していないとしたら由々しき問題です!)。
もう一つは、火災や自然災害、パンデミック、サイバー攻撃など個々のリスク(インシデント、ハザードと呼んでもよい)の特性を踏まえた緊急対応の方針や手順を規定したものです。具体的には「1. リスクの想定」→「2. リスクの予防・回避」→「3. 緊急対応」の3つのステップを踏んでプランにまとめます。ここでは「台風に伴う浸水リスク」について、ChatGPTに緊急対応マニュアルの書き方を例示してもらいます。
■ChatGPTによる書き方のサンプル
Question:ハザードマップによると、当社が台風の直撃を受けると、会社の建物(2階建)が1メートル浸水し、1階に保管してある商品と、事務所内のパソコンとデータが被害を受けることが分かりました。このリスクを最小限に抑えるために、次のそれぞれについて、150文字程度の文章を作ってください。
浸水リスク想定の書き方
浸水リスクの予防・回避対策の書き方
浸水が始まった時の緊急対応手順
Answer by ChatGPT:
【浸水リスク想定】台風直撃時には、会社の建物が1メートル浸水するリスクがあります。これにより、1階に保管してある商品と、事務所内のパソコンとデータが被害を受ける可能性が高まります。早急に対策を講じることが重要です。
【浸水リスクの予防・回避対策】
防水施設の強化: 建物周辺に防水壁やバリケードを設置し、浸水の侵入を防ぐ。
商品の移動: 台風接近前に1階に保管している商品を2階に移動する。
データのバックアップ: 重要なデータはクラウドや外部サーバーにバックアップしておく。
パソコンの移動: 事務所内のパソコンは台風接近前に2階へ移動する。
【浸水が始まった時の緊急対応手順】
従業員の避難: 浸水が始まったら、従業員は安全な場所へ避難させる。
電源断絶: 浸水が発生した場合、電源をすぐに断ち、火災や感電の危険を避ける。
緊急バックアップ: 浸水前にバックアップを取っていなかったデータは、急いで外部媒体にバックアップする。
保険・復旧措置: 浸水被害を受けたら、保険会社に速やかに連絡し、復旧措置を開始する。
これらの対策と緊急対応手順を準備することで、台風による被害を最小限に抑えることができます。【筆者検証済み】
■ChatGPTはたたき台として活用しよう
「浸水リスクの予防・回避対策」に「防水施設の強化: 建物周辺に防水壁やバリケードを設置し」とありますが、正しくは「施設の防水対策の強化:土のうや止水板などを導入する」というのが正しいでしょう。
また、「浸水が始まった時の緊急対応手順」に「従業員の避難」のことが書いてありますが、質問の条件に大雨警戒レベル(3~5)に応じた避難方法などを追加すれば、より細かな手順を組むことができるかと思います。
この緊急対応マニュアルはあくまでもChatGPTが生成した例文であり、正確さや厳密さを期待することはできませんが、細かな表記ミス等を度外視すれば概ねこのような書き方で問題ないことも確かです。あとはこれをたたき台として社内会議で検討し、人の手で加筆修正すれば完成します。なお、想定外の浸水被害を被って事業が停止し、復旧に何週間もかかるようなら、この後のフェーズであるBCPを発動して対応に当たります。