かか / 宇佐見りん 読了
最近本を紹介するYoutubeチャンネルをよく見るようになった。
わたしのYoutubeの使い道と言えば、移動中に音楽代わりに動画を聞いたり、好きな配信者の実況動画を見たりなどと、あまり自分の知見を広げる、という使い方をしていなかった。
漠然とした、転職活動をしたい。という思いから資格の勉強などを始めて、なんとなくSTUDY VLOGなどを見ていた時に出会った。
元々本は一週間に一冊読めばいい方、通勤時間を主な読書時間に当てていたため、仕事が在宅ワークになってからは全く読まない日々が続いていた。そんな中に出会ったYoutubeチャンネルのおかげで読書欲が高まったので記録として残していくことにする。
この物語は主人公のうーちゃんの母親である「かか」の独特な「かか弁」が作中にたくさん出てくる。語り手である主人公のうーちゃんがおまい=弟のみっくんに対して語り掛けるというスタイルで話が進んでいく。
文体があまりにも特徴的であり、不穏さでもあった。
母と娘を題材にした作品は小説だけに限らず、思わず手に取ってしまうことが多くあったが、かかは今までに触れたどの作品にもない何とも言えない温度感を感じた。
うーちゃんはかかを憐れみながらも救いたいと思っているし、元のかか=かみさまに戻ってほしいという思いもある。
しかし、一方でかかのことを憎みながらも、かかが自宅で自分を憐れんで泣いているのと同じようにSNS上で「かわいそうな自分」を演出してしまうという部分がある。
これは自分自身と母の関係にも同じことがあるなあと常々感じている部分でもあったので深く考えされる部分でもあった。
あらすじにもある通り、うーちゃんは少し現実離れした、世間知らずな一面があるのかな、とも思わせておきながら一方でSNSに夢中になっている普通の19歳なんだなと再確認させられる。
「推し、燃ゆ」で話題になった宇佐見かかのデビュー作、推し、燃ゆより先にこちらを読んでしまったが、心に深く残る作品だった。
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